前編 後編

544:  2014/08/23(土) 21:22:35.98

ことの顛末を、間嫁さんと間嫁さんの両親と弁護士先生にも電話で話してた。
週末に特別に弁護士先生を囲んで話し合いをしたんだが、
特別な妙案があるわけもなく、警察には連絡しておくという先生の話で終った








間男の勘違いの原因は、間嫁さんの近所のおばちゃんらしい。

「離婚して親と一緒に暮らしていて、男っ気がなかったのに、
最近俺さんに家の前まで送ってもらったりしたから
 私たちを見たその人、親公認の再婚だ−って勘違いしちゃって」
 ホラーの原因が、こんなトホホだったことに、俺はひどくトホホな気分になったのだが

「間嫁さん、間男が俺の女房っていってたけど、より戻してもいいとか言っちゃった?」
「マジ、やめて。言ってないから」
 女忄生の情けない困り顔って、このとき初めて見たと思う。

「じゃあ、間男、そうとうやばいよ? 酒かひょっとしたら変な薬やってるかも。全然わけわかんない事いってたしきちがいって思った方がいいよ」
 困り顔に濃い影がさして、怯えた顔になって、俺はちょっと言い方がきつすぎたと思った。

「どうすれば……どうしよう」
 俺が迷ったのは少しだけだった。
「もしよければだけど、うちにくる?」

549:  2014/08/23(土) 21:49:52.48

マンションの二部屋を一部屋にするのは新築時なら難しいことはない。
ただし二部屋だと冷暖房効率が悪いので、普段はスライドパネルで仕切っている。
端に扉がついていて普段はそこから出入りし、部屋を大きく使いたい時はパネルをたたむのだが
入居してからパネルをたたんだことは一度だけ。動作確認のみだ。
いつも使っていない方は、ゲストルームにしているが正直掃除の手が回っていない。

というわけで少しほこりっぽい部屋になっていたが、それでも初めて見た彼女とご両親は目を輝かしていた。

彼女の宿泊は、親公認で許可が下りた。
「うーん、最近のマンションはきれいなもんだね」
 俺の部屋で、間嫁さんの親父さんがコーヒーを飲み、俺はミネラルウォーターを飲んでいた。

 隣で掃除機がうなりをあげ、荷物を移動させるどたばたした音が続いていた。
「ま、玄関とか駐車場とか…… 」
 部屋のモニターを切り替え、玄関ロビーと夜の駐車場が映る。

「こうして監視も録画できますし、玄関も部屋もさっきみてもらったようにオートロックです」
「彼女の部屋はそことは別に廊下に面した出入り口がありますし、このドアは彼女側から鍵を掛けます」
「いや、これはすごいねぇ。家内も子供のように喜んでるよ」
 そういう親父さんもしきりに部屋を眺め回していた。

 ご両親が帰ると、パネルの扉から彼女が顔を出した。
「しばらく、よろしくです」
「住まないと荒れますし、気にしないで下さい。掃除やってもらって助かっています。それとマンション出るときは用心して下さい」
 彼女が真剣な顔でうなずいた。なんか可愛く感じた。

553:  2014/08/23(土) 22:16:26.38

もうフラグ立ってるじゃねーか

555:  2014/08/23(土) 22:30:49.96

何にもなかった日が数日続いて、間嫁さんが俺のために夕食をつくってくれるような日もあった。

でもクリスマスイブの前日に彼らは来た。
アイツは、オートロックを住人の後をついていくことで破ったと思う。
となりの部屋、つまり間嫁さんに貸している側のインターホンがなった。
俺は変に思った。

こっちが管理人室で、向こうの部屋は通常人がいないことを住人が入居時と俺が引っ越してきたときにマンション住人には説明してあり、そっちはならさないのだ。

止める間もなく、彼女がドアをあけて応対した。
響いた叫び声に俺は飛び上がり、自分の部屋の扉を開けて廊下に出た。
その時階下でガラスが盛大に割れる音がした。

不安に思ったが、隣の部屋に目を向けると間嫁さんとアイツが扉のところでもみあっていた。
「なにやってるんだ!」
叫んだがアイツは全然聞いていなかった。

「なんで私の部屋にあんたが……」
「わけのわからないことを言わないで」
「離れろ! なんでここにいるんだ!」
 見たこともないほど怖ろしい顔でアイツが間嫁さんにつかみかかり、髪の毛をひっぱっていた。

「わたしの、私の家なのに! この女を追い出して! はやく!」
「いい加減に離せ!」
 怒鳴ったが言うことを聞くわけもなく、アイツの太くて短い右手の指を力ずくで一本一本髪の毛からはがしていたとき、俺の部屋のインターホンが鳴った。

音色から各部屋間通話のものだが、もちろんでられるわけもなく間嫁さんから引きはがすことを続けていた。
 すると携帯電話が鳴り始め、しかもいつまで経っても鳴り止まない。
 いらいらしながら、体を間嫁さんとアイツの間に押し入れつつ、指をはがすのをやめて電話をとった。
「管理人さん、玄関のガラスを壊して変な男が入ってきてる!」
「え? ええっ?」
 まさかと思ったがとりあえず部屋から出ないでと伝えて、電話を切った。

 そして全力で無理矢理、アイツへの気遣いを全部放り投げて、アイツを引きはがそうとした。
 髪の毛をつかんでる手首を渾身の力で締め上げると、だんだんと指が緩んでくる。

 反対側の手が俺の顔に伸びてきて、かきむしる、顔を動かして払いのけながらアイツの右手を押し下げた。
 イヤな音と共に髪の毛が数本ちぎれたが、間嫁さんがアイツから離れた。

577:  2014/08/23(土) 23:49:20.97

「部屋に入って、鍵を掛けて!」
 返事すらなく恐怖の顔で間嫁さんが扉をしめようとする。
 そこへむかってアイツが突進しようとして俺が阻み押し返す。
 彼女の部屋の扉が閉まり、ロック音が鳴った。
 とたんにアイツが大声で泣き始めた。

「どうしてよー! なんで私の家に入るだけなのに!」
「なんでお前の部屋なんだよ! いいから帰れ!」
 その時エレベーターの音が鳴って、扉が開いた。
 出てきたのは、間男だった。曲がった金属バットを持っている。

「おい、成金。女を襲う気かよ! それとも夫婦で襲いあいごっこかよ」
 振り回した金属バットでエレバーターのドアをなぐりつけたもので、とんでもない金属音がした。
 目がイヤな感じで逝っていた。

「クズが。俺の女房だけでなく、俺の女にも手を出しやがって」
 足がすくみあがるって感じは腰から下がやたらと頼りなく軽いのに足が全然動かなくなる感じだった。
 逃げないとって頭の中で叫んでるのになにもできず棒立ちだった。
 バットが振られて思わず手を上げて頭をかばって、左手の前腕が熱くしびれた。

 それでなんとか金縛りが解けた。
アイツは恐怖の目で間男を見ながら呆然と座り込んでいる。
 もう一度バッドを振りかざしたのを見て逃げ出して、廊下の端まで逃げたけど、そんなに距離はとれなかった。
 最上階は部屋数が少ないので廊下も短かった。
いつも掃除が楽ーとか思ってたけどこのときばかりは短さを呪った。

 間男がバットを振りかぶりながらよたよたと歩いてきて
もう逃げられないとイヤな覚悟が走り抜けたとき
間男が突然後ろを向いたのを俺は見た。

間嫁さんが俺の部屋からドアをあけて間男に何かを語りかけていた。
 なんにも考えられずにただ間男に向かって走って飛びかかり、
金属バットを払うと、バットが飛んでいった。
 で、次の瞬間目の前が真っ赤になって背中に衝撃が来た。

 なぐられて倒れたとわかったのは、間男にのしかかられて押さえつけられた時で、鼻がやたらと熱くぬるぬるしていた。
 突然息苦しくなって首に掛かった手を夢中ではがそうとするけどなかなかはがれなかった。
 間男の顔が真っ赤になっていて、奴の腕に爪を立てたけど手は外れず、やがて頭がガンガンしてきたとき、突然手が緩んだ。

590:  2014/08/24(日) 00:12:46.22

みると、間嫁さんがバッドを振り下ろしていて、間男は背中を押さえていた。

間男が間嫁さんのほうを向いたとき、非常口から住民の男忄生達が何人かあがってきて
何してるんだ!とか、警察を呼べとか叫びはじめると、間男は非常口の男達に向かって走り出し
思わず退いた男達の間を抜けて消えていった。

アイツはただ呆然と座っていたけど、住人があなただれとか聞き始めると慌てて違う違うと騒ぎ初めた。
そしてやたらとゆっくりと(といっても間嫁さん曰く30分ほどだと)警察官がやってきて、俺の記憶はそこで途切れてる。

俺は救急車で病院に運ばれ、検査を受けて、左前腕の骨折以外はだいじょうぶと言われた。

とはいえ、喉は痛くて声も出せないわ、顔も鼻血にひっかききずでひどいわ、
一晩入院って言われたけど病院ではろくに眠れなかった。

警察は現場検証をやって、俺も退院した後調書をとられたりした。
家の母親が泣くわ、間嫁さんの親がなぜか謝るわ、弁護士の先生にも謝られた。
会社の人には呆れられた。ただ仕事への差し障りは前とは違って少なめになりそうなのでなんとか許してもらえた。

大事になったので俺と間嫁さんは不安な年末年始を送った。

間嫁さんは特にうっかり扉を開けてしまったことで
ものすごく泣いて落ち込んで、それで住み込んで俺の世話と守りをするって聞かなかった。

俺の親に土下座して許しを請い、一旦家に戻れっていう自分の親に泣いて抗議したもんで、誰にも止められなかった。

逃げていった間男が何時戻ってくるか、
年末なもんで玄関ホールのガラスドアの修理は年明け以降になってしまうこともあって
俺も間嫁さんも神経を過敏にしていたんだが、結果から言うと間男は二度と来なかった。

来られなかった。

591:  2014/08/24(日) 00:16:23.08

シんだのか?
私怨

592:  2014/08/24(日) 00:16:28.98

まさかの自害か 

601:  2014/08/24(日) 00:47:08.95

年開けて仕事始めがあって、最初の日曜日に俺と間嫁さんは警察署に呼ばれた。
間男はシんでいた。身元を示すものをあまり持っていなかったそうだけど
俺の家の住所を書いた紙を持っていたそうで、そこから俺たちに連絡がきたようだ。

霊安室に横たわるシ人の顔は印象が変わるので俺は確証を持てなかったけど間嫁さんは間男と断言した。
後で警察から聞かされたけど、俺のマンションに残った指紋とシ体の指紋も一致したそうだ。

シ因は、凍シだったらしい。

警察から逃げて人目の少ない公園のしげみに倒れ込んでそのまま泥酔して寝たようだ。
損害の請求はできなかった。間男の実家を知らせてもらったが、絶縁しましたというだけだった。

アイツは捕まったが、すぐに釈放された。ただ接近禁止令がおりて俺たちの前から消えた。
数年して偶然会ったとき、アイツは新興宗教に入信していた。幸運にも勧誘はされなかった。

間嫁さんは、左腕が使えないときに、うん。
一発必中してしまった。ま、後悔はしてない。

昨日、祖母の命日で、俺と嫁と子供二人と父母義理父母で法要をやった。
祖母が遺言書を書き換えた話とかを聞いて書きたくなった、それだけだ

602:  2014/08/24(日) 00:49:43.88

お疲れ様
今が幸せならそれでいいんだ

606:  2014/08/24(日) 01:03:30.30

今が幸せなら
一発必中の話をkwsk

607:  2014/08/24(日) 01:28:57.95

壮大な話し、乙!

608:  2014/08/24(日) 01:33:15.88

kwskとか言われてもなぁ

左手が使えないし、まだ間嫁さんだったころの彼女がいろいろと世話してくれてたので、
一人での処理が思いの外とどこおって、間嫁さんの臭いかいだだけで起ってしっまった。

しょうがないので小b**出して沈めようとして小b**するも、あんまり収まらなかったんで
p****あげるのにひっかかって、四苦八苦している間にバランス崩してこけてしまったわけだ。

物音に驚いて見に来た彼女にズボンとp****ずり下がったままひっくり返ってあれをさらしてしまって、
もうこの関係終わりかなとか思ってたら、p****とズボンを直してくれたんだけど、
「我慢してる?」って聞かれて、
大丈夫って答えたんだけど、まあ、アレがしっかり主張してたんで台無し。

夜に彼女がベッドにやってきたんで、思わず抱きしめてしまったんだけど、腕のことがあって押し倒せなかったんで彼女に上になってもらった。
でもそれはこの日だけだった。

3ヶ月ぐらいして、彼女がやたら吐いて食べなくなったんで病気だと思っていたら、つわりだった。

610:  2014/08/24(日) 03:05:15.71

収まるところに収まったってことだね 

614:  2014/08/24(日) 06:51:42.27

>>613
吊り橋効果みたいな物かな
相談スレでも変に間嫁と仲良くなったり
助け合ったりしてるけどそれってどうなんだろと思うけど…

みんな優しいんだろうね

615:  2014/08/24(日) 07:25:50.23

それでサレタ側がお互いに幸せになれば良いと思うな

616:  2014/08/24(日) 07:27:16.91

もげろ!

617:  2014/08/24(日) 07:42:58.99

完走乙!

今が幸せならよかったな〜



引用元:https://maguro.5ch.net/test/read.cgi/tomorrow/1403966235/
前編 後編












1000: 名無し@HOME