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568: 本当にあった怖い名無し 2011/06/21(火) 22:02:26.38 ID:g26ky4bm0
怖い話があるので書きます 
事の発端は夢からでした 
青みがかった黒髪の日本人形が夢に出てくるのです





夢の中の人形はただオレと見つめあっているだけで、
一体何を意味しているのかさっぱりわからない
一週間毎日続き、ほとほと悩んでいた頃、夢に変化があった
人形がなにか語りかけてきた
しかし、意味のあるような言葉には思えず、オレには通じなかった
しかし、何度か同じ夢を見るうちに気がついた
どうやら数字を言っている
十桁の数字
オレは目が覚めるとすぐにその数字をメモに書き留めた
よくよく見てみると電話番号のような気がする
頭三桁はオレの住む地域の市外局番と一致する
しかし、当然のことながらとても電話をかける気にはなれず、なにもすることはなかった
しかし夢は相変わらず続き、人形は数字をオレに伝え続ける
人形の夢を初めて見てから二週間、一念発起したオレは電話をかけてみることにした
なにか夢に関するヒントが得られれば、という思いからの行動だったが、同時に何か不吉なことがあるのでは、という恐れは頭から離れなかった
とりあえず番号を検索してみると、あっさりヒットした
県内のある居酒屋のようだった
家からそう遠いわけでもない
オレは週末その店に行ってみることにした


570: 本当にあった怖い名無し 2011/06/21(火) 22:04:45.67 ID:g26ky4bm0

友人二人を連れ立って電車と徒歩で一時間、小さな町の居酒屋だった
看板にある電話番号はあの数字と一致する
店に入るとまだ早い時間だからか、客はオレたちだけ
酒もそこそこに店主に夢の話をしてみた
店主は心当たりがないようだったが、カウンター越しに聞き耳をたてていた女将が詳しい話を聞かせてくれと言ってきた
話を一通り聞かせると、女将はおそらく家にある人形じゃないか、越してきてからずいぶんになるが、しまいこんだままだった、ちょっと探してくるね、と店の奥に消えた
しばらくして、女将はすすけたクリアケースにしまわれた日本人形を持ってきた
一目でわかった

夢のあの人形だった

女将によると、この人形は女将父が生前従妹から譲り受けたもので、
詳しくはわからないが非常に貴重なものであるとのことだった
もとの持ち主の従妹は金に汚く、変わり者で、親戚付き合いは何年も前に絶ってしまっているとか
女将としばらく話し込み、もしかしたらということもあるから、とその従妹に連絡を取ってみるよう勧め、女将もそれに同意した

夢はしばらく続いたが、ある日を境にぱったりと見なくなった
人形にまつわるあの一族のなかで、何かしらが解決したような予感がし、肩の荷が降りるようだった
しかし、程なくして女将から連絡があった
女将は従妹を探し、人形を返すことができたらしい
従妹は病に伏せり寝たきりだったが、息子夫婦の家に引き取られ暮らしていた
人形を見ると、とても懐かしがり喜んだ
従妹の故郷の数少ない思い出の品だったようだ
涙を流して女将に礼を述べたという
年のせいか、評判よりずっと丸くなったようで、感じのよい老婆だったとか
息子夫婦も好感の持てる人物で、これをきっかけに親戚付き合いが戻るかも、と女将は喜んだ
しかし、女将が人形を返してから一週間もたたないうちに訃報が届いた
従妹が亡くなったそうだ
女将は人形が従妹の最後によりそうために、私たちを頼ってきたのかねえ、と語った
オレはにわかに全てを消化することはできなかったが、なんとなく物の縁や人の縁に触れることができた気がして、まんざらでもなかった
しかし、この一件は終わってはいなかった



引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1308437410/

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