【1/3】 【2/3】 【3/3】

1
: :2011/02/19(土) 00:26:30.17 ID:
語らせてくれ







2: :2011/02/19(土) 00:27:40.71 ID:
うわ、立った。 
まあいいや書かせてくれ。 

とりあえずスペック 

オレ男 
性別:男 
髪型:パーマ 
身長:高め 

ボク娘 
性別:女 
髪型:ショート 
身長:低め
3: :2011/02/19(土) 00:28:59.14 ID:
オレはタイトルの通り作家志望で、運痴のデクの棒。 
ボク娘とは中学時代の部活仲間。 

ボク娘はボーイッシュな性格で女なのに一人称は「ボク」。 
男女ともに友人は多かったが 
基本的にはオレ含めおとなしめの人と仲が良かった。 

前々からオレの作った作品を見たいと言ってくれてた。 
まあ知り合いがなんか自分がやってないことをしてたら 
見てみたいと思うのは普通だと思う。 

でもなかなか2人の時間が合わず、 
結局その話は流れたように思えた。
4: :2011/02/19(土) 00:30:21.83 ID:
事の発端は去年の夏。 

ボク娘からメールが来た。 
「オレ男!作品!作品!!見せて!!金曜日時間ある??」 
この時木曜日。 
「金曜って明日?」 
「そそ」 
正直部活があったので無理だと思ったが、 
終わってからでいいよと言ってくれたので承諾した。 

そういや会うの3年振りかーとか思いながらその日は寝た。 

次の日。 
インドア派のオレは女子と2人きりで会うというのは 
あまりないので少しドキドキした。 
部活終わってすぐ来たので汗臭くないかとか気にした。 

待ち合わせたコンビニに入って周りを見渡すが、姿が見えない。 
と、思ったら机に向かってPSPやってる制服を着た女が居た。 
「ボク娘?」 
「おぅっ!? おー!オレ男!!」 
中学時代は髪が長かったので、 
雑なショートヘアになったボク娘はパッと見分からなかった。 
後から聞いたが美容院に行くのがめんどくさくて自分で切ったそうだ。
5: :2011/02/19(土) 00:32:30.49 ID:
「久しぶりぃ!全然変わらないねw」 
「そーか?まぁ変えようと思ってないしな」 
見た目は変わったが中身は全然変わってなかったようだった。 
「オレ男モンハン持ってないの?」 
「持ってるけどGじゃないただの2ndだしクシャルダオラで挫折した」 
「だっせぇなーww今度2人でやろうぜ2人で!」 
2ndとGは通信できないだろーがと思ったがどうでもいいのでやめといた。 

本来の目的を果たすため作品を渡す。 
「おぉ!すげっ!じゃあお預かりします」 
「はいはい」 

そっから3年の間お互い学校で何があったのかとか話した。 
その辺はホント他愛のない話なんで割愛。 

大体話も落ち着いたところでボク娘が 
「金持ってんだろぅ!アイス奢ってくれアイス!」 
「いやお前バイトしてんじゃん」 
「んーじゃあボクもお前の欲しいもん買ったる!」 
それ意味あんのか?と思いつつ300円近くするアイスを買わされる。 
まあ別にこのぐらいの金額ケチるほどじゃないので、 
オレはブラックサンダー2つを買ってもらった。 

ボク娘がレジのおばちゃんに 
「新商品のチキンいかがですか?」と言われ 
「あっ じゃあ それもください」と言ってたのが面白かった。 

アイスも食べ終わり、2人とも帰ることにした。チキンは食べ残した。 

ここで事件が起きる。
6: :2011/02/19(土) 00:34:22.96 ID:
なぜかボク娘が一向に自転車に乗ろうとしない。 

「んー?あれ?やべぇ」 
「どしたん?」 
「自転車の鍵がない・・・」 

「はぁ?コンビニで落としたんじゃねーの?」 
「多分・・・ ちょっと探してくるから持ってて!」 
なぜか携帯を渡される。 
女子の割にストラップはあまりついてない。 
とかつまらんことを考えてたらボク娘が出てきた。 

「無かった・・・店員さんにも聞いたけどないって・・・ 
 見つかったら連絡しますって言ってくれたけど断っといた・・・」 
「え?じゃあどうすんの?」 
「どうしよう」 

オレに合わせて集合場所を選んでくれたので、 
ボク娘はコンビニから家まで割と距離があった。 

ボク娘は自転車で帰れない。 

オレには自転車がある。 

あれ?これってまさか?
7: :2011/02/19(土) 00:35:10.40 ID:
んでんで
8: :2011/02/19(土) 00:37:30.89 ID:
>>7 
見てる人いた。ありがとう。 


「あ、あn」 
「親に頼んで迎えに来てもらう 携帯返してっ」 

折れた!!フラグが折れた!! 

だが勇気を振り絞ってオレは言った。 

「じゃあオレが送ってくよ」 

言った!言ったよ!! 
普段家にこもってゲームしてマンガ読んでるやつが!! 

「マジで!?じゃあそうしてくれたまえっ!」 

神は俺に味方した
9: :2011/02/19(土) 00:39:58.40 ID:
しかしひとつの問題が生じる。 
ボク娘の自転車をどうするのか? 

やばい・・・ボク娘にはオレが送っていくメリットないんじゃ? 

「帰ったらまた車で取りに来るよっ」 

問題はあっさり解決した。 

オレは 人生で初めて 女子と2人乗りをすることになった。 


やばい。ふ、2人乗りってあれだよね? 
後ろの人が前の人の肩つかみながら体密着させて・・・!! 

オレの想像とは裏腹に、 
ボク娘は後ろ向きに荷台に座った。 

そりゃそうかと思いながらオレは自転車を漕ぎ出した。
10: :2011/02/19(土) 00:41:58.28 ID:
これがその小説ですっていう入間的なオチだろう?
13: :2011/02/19(土) 00:43:28.53 ID:
>>10 
ねーよwww 


しかしボク娘は背中をぴったりとつけて 
オレにもたれかかってきているので、 
ボク娘の体温を感じて気が気じゃなかった。 

これ、オレ今最高にリア充じゃね? 

ボク娘は後ろを向きながらも話しかけてくるので、 
なんとかオレも話を返した。 
顔が見えないのが幸いしてあまり動揺せずに喋れた。 

「オレ男さぁ 修学旅行どこ行くの?」 
「北海道だけど」 
「マジで!?ボクもそうだよ!」 

でも残念ながらオレの学校の修学旅行は既に終了してた。 

「校外学習で遊園地なら行くけど」 
「おー そっか じゃーお土産買ってこいよ! 
 ボクも買ってきてやる!」 
「いやオレ北海道行ったってば」 

二人でお土産をあげ合う約束。 
これはカップルと言っても過言じゃないよね。
14: :2011/02/19(土) 00:47:52.76 ID:
「オレ男はすげーよなー 作家なるんでしょ?」 
「まぁ それ意外になろうとは思ってないけど」 
「うぉーw言うねーw」 
「ボク娘は将来の夢とかないん?」 

「んーボクはねー自衛隊になる!!」 

はい? 

「自衛隊wwwマジで言ってんのwww」 
「たりめーだろ!見ろこの腕!」 

と腕を出してきたので触った。細ぇ・・・。 

「筋肉全然ねぇじゃんwww」 
「今学校で鍛えてんだぞー!」 

そんな丸めたポスターみたいな腕で自衛隊は無理だろと思った。 
大体思春期の女の子が抱える夢が自衛隊って・・・。 
そう思ってオレは訊いた。 

「ホントに自衛隊になりたいのかよ」 
「えっ?」
15: :2011/02/19(土) 00:50:19.64 ID:
一瞬戸惑ったように見えたけど 
ボク娘はすぐに当たり前じゃんと言い返した。 
オレは少し違和感を覚えた。 

2人乗りに慣れてないオレは、 
曲がり角で何回かよろけそうになった。 
その度にボク娘が 
「ボクが代わってやろうか?おぅ?」 
と言ってくるのでオレも男の意地で断った。 


「もうすぐボクんちだ!頑張れー!」 
急な角度の橋を上りきったところで、ボク娘が自転車から降りた。 
「ありがと!助かったぜ!」 

「え?まだ橋の上だけど」 
「こっから先は立ち入り禁止!!じゃあ作品ありがとー!」 

ああ・・・ そっか 
こんな時間に男に送ってもらったってなったら色々面倒なんだろう。 
そう納得して俺は帰宅した。時間は21時になろうとしてた。
16: :2011/02/19(土) 00:54:55.96 ID:
書き溜め分終わったからこっから遅くなりますごめんなさい。 


帰宅してからオレはメールをした。 
「久しぶりに話せて楽しかったよ またな」 

少しキザだけど送ってしまった。 
『楽しかった?何言ってんのキモッ』とか 
帰ってくるかもと思ったが、 

「おぅ!またなー!」 

案外あっさりした返事だった。 
特にそれ以上送ることもないのでそこでメールを切った。 

すると夜中にボク娘からメールが来た。 
「ボクこの話すっげー好き!!」 

何だ?と思ったが渡した作品のことだった。 
正直友人達に見せてあまりいい評価が得られなかったので嬉しかった。
18: :2011/02/19(土) 00:59:06.35 ID:
そういえばボク娘は良くゲーセンに行くといってたので、 
それとなく誘ってみることにした。 

「サンキュー ところで来週の土曜暇?」 

どこがそれとなくかわからんが送った。 
恋愛経験0のオレにはこれが限界でした。 

ボク娘から返信がくる。 
お・・・お願いします!! 

「読み終わったら返すねー^^」 

スルーされた。 

流石に引き下がれないので問い詰める。 

「質問スルーとかさすがですボク娘姐さん」 

キモいヤツって何で女子と話すとき敬語になるんだろうね?
20: :2011/02/19(土) 01:02:33.04 ID:
モヤモヤしながら返信を待つ。 
ボク娘は返信が異様に遅い。 
早くて10~15分、遅いと3、4時間後に返って来る。 

「んー・・・土曜は無理カモ 何で?」 

断られた。凹むオレ。 

「いや・・・暇だったらゲーセンでも行こうかと思って・・・忙しいならいいや」 

露骨に文章に気持ちが出ちゃってた。 
調子に乗ってすいませんでしたとか後悔してたら返信が来る。 

「おぅ?じゃあ行こーぜ(`・ω・´)」 

え? 

「土曜無理なんじゃねーの?」 
「土曜は無理だけど日曜なら空いてる!」 

あぁ そういうことですか。
21: :2011/02/19(土) 01:06:31.89 ID:
沈んでたオレは一気にテンション上がった。 
時間はどーするとかどこのゲーセン行くかとか話し合って決めた。 

場所は地元の高校生が結構な確率で来るゲーセンになった。 
誰かに見られたらどうしようと思ったが、 
見つかったらそれはそれでいいかと考えた。 
いやむしろ誰か来てくださいフヒヒw 

我ながら気持ち悪い。 


ゲーセンに行くより前の日に、ボク娘が作品を返してくれた。 
「友達にも見せたけど凄いって言ってた!!」 
「え?wマジで?ww」 
勝手に見せられたのはともかくありがとうボク娘の友人。 

その日も夜遅かったので、自転車はあるが家まで送ってくことにした。
22: :2011/02/19(土) 01:07:44.33 ID:
その作品うp
23: :2011/02/19(土) 01:11:20.81 ID:
>>22 
分かった。最後まで語ったら何かしらうpする。 


なぜか自然に 
「家まで送ってくわ」と言えた。 
ホントあのときのオレの行動力すげぇ。 

ボク娘も 
「おぅ!しゃーねーから送られてやるよ!」 
とまんざらでもない感じだった。 

「日曜日ゲーセンだからな!」と言って別れた。 
相変わらず家が見えない位置で解散させられた。 

「変な人についていくなよ!」と言われた。 
ボク娘の渾身のギャグのつもりらしい。 
オレは何て言ったらいいか分からず 
「お前の方が変な人じゃ!」と言った。訳分からん。
24: :2011/02/19(土) 01:16:17.40 ID:
>>23 
1良いやつ過ぎ泣いた( ;∀;)
25: :2011/02/19(土) 01:20:06.78 ID:
そして日曜日。 
コンビニで作品を渡した時とは違って、 
2人で遊ぶことを前提にしてるのでまた気分が違った。 

これ、デートだよ!!夢にまで見た!! 

女子ってプリクラとか好きだから2ショット撮るんじゃね?w 
とか妄想してボク娘の家の近くの橋で待ち合わせた。 

が、時間になってもボク娘がこない。 

まさか・・・ドタキャン? 
常に最悪の事態を想定するのが陰キャラである。 

20分くらい待ったところでボク娘が来た。 

「わりぃ; ちょっと色々あって;」 
「いや 全然大丈夫」 

来てくれたことが嬉しかったのでおれはどうでも良かった。
26: :2011/02/19(土) 01:27:07.52 ID:
やっべぇ書くの遅くてゴメン 


早速ゲーセンに向かうことにした。 
ボク娘の家はゲーセンのすぐ近くだったので4、5分で着いた。 

明るい時間に女子と並んで歩くのは至福だった。 

『わーオレ男 うまーい』 
みたいなキャッキャウフフな展開を妄想するオレだが、 

ギターフリークスの前に止まったボク娘が豹変した。 
やってみたいんかな?とおもったオレは 

「あー ギタフリ? オレあんまやったことn」 
「2人でやろうぜ 難易度最大にする?」 

なんですと?


27: :2011/02/19(土) 01:31:29.96 ID:
オレの返答を待たずにボク娘はお金を入れ、 
一人で勝手に始めてしまった。 

猛スピードで流れるバー。 
それを苦ともせずにこなすボク娘。 

え・・・?メッチャ上手い・・・ 
っていうか・・・こいつ廃人じゃねーの!? 

忘れてた。ボク娘はゲーセンによく行くのだ。 
ギタフリなんぞ飽きるほどやってる。 

逆にオレは難易度イージーをクリアして喜んでるド素人。 
口をぽかんと開けて眺めるしかなかった。 

「う・・・うまいな ボク娘」 
「あ? いやー 久しぶりだから調子悪いわー 
 昔はもっとできたのになー 調子悪いわー」 

地獄のミサワか。
28: :2011/02/19(土) 01:39:38.16 ID:
「突っ立ってないで一緒にやろーぜ!」 
「お・・・おう」 

いやいやいや 俺なんかがやったら失敗になるって!! 

案の定ボク娘のスピードに付いていけず。 
画面に流れるFAILEDの文字。 
哀れみの目で見るボク娘。 

やばい、これはなんとかしないと。 

その後もボク娘はドラマニやらユビートやらを 
かなりの高レベルでクリアしていく。ただただ唖然とする俺。 

ボク娘も気を遣ったのか、 
「オレ男がやりたいやつないの?」 
「え・・・?いや・・・」 
「レースゲームとか!どう!?」 
「あ・・・じゃあレースゲームやろっか」 
完全にエスコートされてます。本当にありがとうございました。
29: :2011/02/19(土) 01:45:13.23 ID:
ボク娘に連れられて湾岸ミッドナイトをやることになった。 
どーせレースも上手いんだろ・・・と落ち込んでたら 
ボク娘は意外とレースゲーは普通だった。 

そしてオレはボク娘に勝つことが出来た!! 
もしかしたら花を持たせてくれたのかもしれんが。 

1人でクリアしてしまったオレは、 
なんだか良く分からないシステムのせいで 
オレだけがレースを続ける感じになってしまった。 

「おぃ~ 早くミスれよ~ 終われよ~」 
と後ろからボク娘にプレッシャーをかけられた。 
このままやってても仕方ないのでわざとミスって終わりにした。 

その後またボク娘がドラマニやらなんやらをやって、 
ボク娘が出よっかと言い出したので、 
え?と思ってあのことを訊いてみた 

「プリクラとか・・・撮らんの?」 
「プリクラあんま好きくない」 

一人称が「ボク」なんだから、当然普通の女子ではなかった。


31: :2011/02/19(土) 02:01:21.91 ID:
構わん、続けろ
30: :2011/02/19(土) 01:52:30.66 ID:
マック行こうぜ!マック!と言われ 
完全に尻に敷かれてる状態でマックに入った。 

「なんだよー 氷抜きって言ったのに氷入ってんじゃん!」 
とボク娘がグチをこぼす。 

ああ、オレは今日情けなかったけど、 
生まれて初めてデートというものをしたんだなとか感傷に浸ってた。 

くだらないことを話しながら食べていると、 
ボク娘が携帯を床に落とした。 

するとその直後 
「ガンッ!!」「いったー!!」 

どうやら顔を上げようとしてテーブルに頭をぶつけたらしい。 
正直若干気まずい空気だったのが一気に和んだ。 

しかもその流れに乗じてボク娘の頭を撫でた。 

女子の頭触るなんて何年ぶりだろう?? 
ボク娘の小さい頭を撫でながら昔に思いを馳せた。
32: :2011/02/19(土) 02:02:49.19 ID:
その日はそれで終わった。 
一生に一度あるかないかと思っていたデートができたので、 
もうオレは満足していた。 

ボク娘は男友達が多いので、 
きっと色んな男と2人で出かけてるんだろう。 
オレもその中の一人だったに過ぎない。 

だけどいい体験ができたと、ボク娘に感謝して眠りについた。 


その後数日間特に何も無く、 
オレは出したいと思ってた作品の賞の締め切りも迫ってたので、 
こちらからも特に連絡はしなかった。 

するとボク娘からメールが来た。 
「暇じゃき(´・ω・`) 遊ぼーぜ」 

ボク娘の方から誘ってきた。 
これは脈アリってこと?
33: :2011/02/19(土) 02:05:04.25 ID:
ボクっ娘てリアルに存在したんだな・・・
35: :2011/02/19(土) 02:08:49.12 ID:
>>33 
ちなみに一人称が「オラ」の後輩もいますw 


作品の締め切りはあるが、 
せっかく誘ってくれてるんだからOKした。 

「何するん?」 
「うーん・・・ 映画トカ?」 

映画!! 
映画に男女に2人きりで行くって事は 
もうそういうことなんじゃないの!! 

興奮してメールを返す。 

「いいよ」 
「オレ男観たいのある?」 

映画は好きなのでとりあえず観たいものを2、3個上げた。 
でもボク娘がアリエッティを観たいと言ってたのを思い出して、 

「アリエッティももうすぐ公開だけどどうする?」 
「んじゃアリエッティ観たい!!」 

そんなわけで2度目のデートを取り付けた。 
何もかもが順調に思えた。


34: :2011/02/19(土) 02:08:39.77 ID:
たしかに>>1は高校生にしては、 
文章安定してるよな。 
36: :2011/02/19(土) 02:11:45.71 ID:
>>34 
ありがとうございます。 


そして約束の日。 
○駅で待ち合わせした。 
ボク娘は△駅から○駅にくるが、 
オレは○駅に直接自転車で行った。節約は大事だ。 

休日なのか、人が多い。学生もたくさんいた。 

一人で携帯をイジりながら待っているが、 
いつもなら「あいつ一人?www」という痛い視線(主に勘違い)が、 
今日は「オレ女と待ち合わせてっから」という気持ちでかきけされた。 

そしてボク娘が来た。 
今までは近場だったので制服とか緩い服を着てたが、 
今日はちょっとオシャレな感じになっていた。 
しかしボク娘はスカートをはかないのであった。 

んじゃ早速いくかと思ってホームに向かうと、 
ボク娘がパックの麦茶を渡してきた。 
あれ?まだ中身残ってるよ? 

「ボクもう飲まないからあげる」 

こ こ これは 間接チッス!!!?
40: :2011/02/19(土) 02:21:23.11 ID:
え?え?とか戸惑いながら麦茶を受け取ったが、 
ボク娘はスタスタと歩いていく。 

ああ、こういうのってあんま気にしないんだなと納得して 
普通に飲み干した。甘酸っぱい味とかはしなかった。 

1ヶ月ほどで初デート・初間接チッスなどを 
クリアーしてしまったオレの精神は最早神の領域だった。 

いつもは煩わしい映画館に向かう間の電車も、 
隣にボク娘がいるだけで楽しかった。 

お?どーよそこの男子www 
オレ今から女子と映画観にいくんだぜ?www 

だがボク娘とはイチャイチャというよりは、 
ワイワイという感じだった。男友達と同じ感覚だ。 

基本的にボク娘は大雑把な性格なので、 
電車が来るまで長かったら看板を叩いたりして、 
こっちが驚かされてしまった。 

何度も言うが、一人称が「ボク」なので普通の女子ではないのだ。
41: :2011/02/19(土) 02:24:03.86 ID:
2人とも歳はいくつなんだ?
43: :2011/02/19(土) 02:29:16.93 ID:
>>41 
文章中から推測してもらえれば分かると思うけど 
このとき二人とも17歳です。 


映画館についたが、始まるまで時間があったので 
先にお昼ご飯を食べることにした。 

後で払うからと言われてここはオレが全額払った。 
といってもラーメン2杯だけど。 
オシャレな食べ物とか気を遣わなくて良いのは 
ボク娘の良いところと思う。 

女子と並んで昼食。 
どれだけ憧れただろう。 

それが今、叶ってる! 
ラーメンだけど。 

まだ時間があったので映画館の隣のゲーセンで時間を潰すことにした。 
またギタフリやらやられては敵わないので、 
エアホッケーをすることにした。 

「買ったほうが100円な!!」 
といきなり賭けを持ち込まれる。 
しかも負けた。散々だ。
44: :2011/02/19(土) 02:33:55.64 ID:
良い時間になってきたので映画館に向かう。 
ボク娘がポップコーン買いたいと言うので、 
一番デカいサイズのポップコーンを頼んだ。 
さっき昼飯食ったばかりなのに大丈夫なのか? 

さっきオレがラーメン代を払ったので 
ボク娘がポップコーン代を払ってくれた。 
別に良いのにと思ったが 
借りを作りたくないのかも知れないので素直に買って貰った。 

出てきたポップコーンは想像以上にデカい。 
しかもキャラメル味。これは飽きる。 
大体ポップコーンは沢山食べるものじゃないよね。 

2人で同じポップコーンをつつきながら、 
アリエッティを観た。 
時折小さい声で「ババァうぜぇww」とか 
「ババァざまぁwww」とか言って2人でクスクス笑った。 
ババァはアリエッティの登場人物ね。
46: :2011/02/19(土) 02:35:18.82 ID:
誰も言わないから俺が言う。 

リア充爆発しろ()
47: :2011/02/19(土) 02:38:26.52 ID:
>>46 
サーセンwww 


アリエッティはなんか中途半端な感じだった。 
漫画の1話目の終わりで映画終わっちゃったみたいな。 
正直トイストーリー3にしとけばよかったと悔やんだ。 

でもボク娘と観れたのでいっかと開き直った。 

そして帰りの電車の切符を買おうとしたとき、事件が起きた。 

「あっ!!」 

ボク娘がなにかに気付いた。 

「どしたん?」 
「お金ない・・・」 

なんですと? 

映画を観るのにギリギリのお金しか持ってなかったボク娘は、 
ポップコーン代を払ったことで 
帰りの電車賃が買えなくなってしまったのだ。アホス。
48: :2011/02/19(土) 02:42:46.30 ID:
もちろんオレが立て替えたが、 
オレも持ってなかったらどうするつもりだったんだ・・・。 

電車を待ってると、急にオレの電話が鳴った。 
高校の友達だった。 

「もしもし?」 
「おー オレ男 今○○んちにみんな集まってるからさー 
 お前どーせ暇だろ?w 来いよw」 

めったに誘わないのになんでこういう時に限って電話してくるんだ。 

「いや・・・今家にいねーし」 
「は? 何してんの?」 
「映画観に行ってた」 

「ははぁ・・・ 女 と ?」 

な ぜ 分 か っ た し
50: :2011/02/19(土) 02:49:08.82 ID:
「違ーってw 中学ん時の友達だってw」 
後々問い詰められてもめんどくさいので誤魔化すことにした。 
ボク娘に聞こえてねーだろーなと思いつつ様子を見た。 
特に気にしてる風ではなかった。セーフ。 
それに嘘はついてない。 

「中学の?誰だよ名前言ってみろよw」 

何その異様なしつこさ。 

「お前に言ってもわかんねーってw」 
「あー じゃあ △△に代わるわ」 

△△!? やばい・・・こいつは幼稚園の時から高校まで一緒だ。 

「よぅw 誰だよ?w ××(男の名前)か?」 
「えっ? そ、そーだよ 良く分かったなw」 
「なーんだ つまんねーw」 

電話の向こうで「××だってよー」 
「なんだよー」みたいな声が聞こえてくる。 
なんとか乗り切った・・・のか?
51: :2011/02/19(土) 02:51:06.69 ID:
乗りきってないな 
53: :2011/02/19(土) 02:52:11.72 ID:
>>51 
ゴクリ・・・ 


「んー 映画は観終わったんだろ?wじゃあ帰ってきたら来いよw」 
「あ? ああ 分かった・・・」 

何なの?この漫画みたいなイベント? 
どういう確率で巻き起こってくれてんだよクソが。 

電話中ボク娘が黙ってくれてたのが幸いだった。 
もしボク娘の声が聞こえたなんてなれば、 
それこそ漫画みたいな展開になりかねない。 

女の影なんて無いに等しいオレが 
2人きりで映画に行った事がバレたら、 
茶化されるどころの騒ぎではない。 

この時は何とかやり過ごすことが出来た。この時は。
54: :2011/02/19(土) 02:53:31.83 ID:
ボク娘は空気読める奴。
57: :2011/02/19(土) 02:58:13.15 ID:
さて、ここからまた嬉しいイベントが起こる。 
地獄に仏とはまさにこのことだ。 

電車賃はオレが立て替えたわけだが、 
ボク娘が 
「あっ!でもオレ男は○駅に自転車あるんでしょ? 
 じゃあ△駅まで乗せてってくれれば電車賃ちょっと浮くじゃんw」 

二度目の二人乗りが訪れた。 

人通りの多い場所で女子と二人乗り。ボルテージは鰻登りだ。 

いつものオレなら 
「道路交通法守れよクソカップル」とか思ってただろうが、 
自分の身に起こった時の掌の返しようは物凄い。 

意気揚々とニ人乗りで△駅に向かった。
60: :2011/02/19(土) 03:04:38.79 ID:
映画館の帰りに買ったパンをむさぼりながら帰った。 
(記憶が曖昧で書き損ねましたが 
 友人からの電話はパンを買ってた時にも掛かってきました。) 

ボク娘が「それ美味い?」と訊いて来たので、 
食べかけのホットドッグを渡した。 
今度は逆間接チッスである。しかも食べ物。しかもパン。 

「ありがとー」と言ってボク娘も1回かじって返してきた。 

何だこれ?オレはこんなにリア充な生活ができたのか!! 

○駅から△駅までは45分ぐらいだったが、 
凄く短く感じられた。こ、これが相対性理論・・・!! 

△駅に着くと、 
そこには・・・ 




特に何も無く無事に2人とも帰宅した。
62: :2011/02/19(土) 03:12:19.91 ID:
正直今から野郎共と遊ぶ気力は起きなかったので、 
そのまま倒れるように寝た。 

起きたら友人から10回以上着信があったが無視した。 

賞に出す作品も書かなきゃなー・・・と思いながら 
ボク娘にメールした。 

「映画楽しかったな またどっか行こう!!」 

・・・ 
相変わらず返信は遅い。 

「おぅっ 次どこ行く?」 

返事は鈍いがボク娘はノリノリである。 
オレもノリノリで次のデートの計画を立てることにした。
65: :2011/02/19(土) 03:17:22.65 ID:
と行っても流石にあまり遠くに行く暇はないので、 
どこか身近でいいイベントは無いものかと思った。 

するとあることを思い出した。 
今日駅から駅へ行く間に、 
「七夕祭り 7月○日~」という張り紙を見たのだ。 

そういえばこの地域では、 
7月のある時期に毎年 七夕祭りが開催されていた。 
たくさんの屋台に人だかり。 
楽しくて優越感も味わえる。これしかないと思った。 

「七夕祭りとかどう?」 
「おぅ!いいね!!行こーぜ!(`・ω・´)」 

こうして3回目のデートが決定した。
67: :2011/02/19(土) 03:21:07.33 ID:
学校で友人達と会ったが、特に何も訊かれなかった。 
「お前来いっつったろー」 
と言われたぐらいだった。 
「わりー 帰ったらもう良い時間だったから」 
と適当に濁した。 

七夕祭り当日。 
下校時に一緒に帰ってる友人達が、 
「七夕祭りとかさー つまんねーよな みんな良く行くよなw」 
とか抜かしてたがそれはお前に相手がいないからだよと見下しながら 
変に言い返してもあれなので「まーな」と返しておいた。 


学校から帰り、家族には 
「七夕祭り行って来る」とだけ言い残して家を出た。 
決して「女の友達と」とは言わない。 
後々面倒くさいからだ。
68: :2011/02/19(土) 03:23:56.14 ID:
追いついた。 
3回目のデート……ついに本番か
69: :2011/02/19(土) 03:26:28.66 ID:
祭りは○駅の近くで行われるので、 
直接行くと人ごみで通れない可能性があるので 
△駅から行くことにした。 

すると△駅でボク娘を発見。 

ドキッ これは運命・・・? 
とアホなことを考えつつも自転車のベルを鳴らす。 

おっ 振り向いた ってあれ? 

ボク娘はオレを見たはずなのに 
気にしてない様子で改札に向かった。 

なんで無視するん? 
オレなんか不味いことしたかなと不安になった。 

結局ボク娘はオレに話しかけることも無く電車に乗った。
70: :2011/02/19(土) 03:30:21.46 ID:
なんで声かけてこないんだ? 
でも電車に乗ってるってことは七夕祭りには行くつもりで・・・? 

○駅に着いたところでボク娘からメールがきた。 
「今どこぞ?」 

んん? 

「いや改札前にいるけど・・・」 

ボク娘がオレに近寄ってくる 
「おぅ!じゃぁ行きますか!」 

「いや・・・てかなんでさっき無視したん?」 
「え?何が?」 

んんん??
71: :2011/02/19(土) 03:31:15.30 ID:
「いや、△駅で・・・」 
「あっ!もしかしてベル鳴らしたのオレ男!?」 
「え?うん」 
「メガネ失くしたって言ったじゃん? 
 それで目ぇ細めたんだけど全然見えんくてw」 

そういえばボク娘は修学旅行の時にメガネを失くしたと言ってた。 
無視してたのではなく誰か分からなかっただけだった。 

なーんだと胸を撫で下ろして、いざ七夕祭りへ。 

(すいませんおみやげ交換の話書き忘れました。必要ですか?)
73: :2011/02/19(土) 03:38:20.91 ID:
ボク娘の修学旅行日当日。 
オレは「行ってらっしゃい お土産ヨロシク」とメール打った。 
「おぅ! 行ってくるぜぃ」と返事。 

少なくとも4日後までは会えないなと思ってちょっとガッカリした。 

するとその日の夜中、ボク娘からメール。 
「オレ男ー オレ男ー! 何か面白いこと言って!」 
何だその無茶振り。 
無い頭ひねって考えた一発ネタを送った。 

「あはははは! もう1回(`・ω・´)」 
お気に召しませんでしたか・・・。 

もう恥はかけないので 
2chの「一行で笑わせたら寝る」みたいなスレをパクって 
ボク娘に送った。 

「オレ男サイコー^^」 

パクりだったが悪い気はしなかった。
75: :2011/02/19(土) 03:40:27.54 ID:
伏線を張るとは…期待せざるをえないな 

(ククク、ハードルアゲテヤル!
79: :2011/02/19(土) 03:44:01.49 ID:
>>75 
伏線ってかあったこと書いてるだけだw 

で、結局今何してるのかと訊いたら 

「友達とトランプやってるよ」 

と返ってきた。ま、まさか見せたんじゃないだろうな! 
まあそんなに心配することでもないので気にしないことにした。 

次の日、 
「オレ男お土産何がいいー?」 

オレが修学旅行に行った時はあまり自分に買えなかったので、 
「チーズケーキ!!」と返しておいた。かなり無茶な注文だ。 

「えー 贅沢な! 考えとく!」 

ちなみにオレは校外学習先の遊園地で、 
ご当地限定まりもっこりを買った。北海道じゃないのに。
80: :2011/02/19(土) 03:47:54.81 ID:

もちろん買うときは「姉ちゃんになんか買っていこうかな」 
と保険をかけてあるので友人達には怪しまれない。 
うちの姉弟の仲の良さは折り紙つきだ。 

で、その後おみやげ渡したいと言って例のコンビニで集合した。 
まりもっこりを惜しげもなく渡すと、 
「うわぁwなんじゃこれw」と反応は上々だった。 

ボク娘は 
「ほら!ちゃんと買ってきてやったぞ!!」と 
大きな箱を取り出した。 

えっ!?マジでチーズケーキ!? 
・・・と、思ったらクッキーだった。 
まあチーズケーキは無理だと思ってたので別に大丈夫だった。 

後日聞いたが、ホントはチーズケーキ買ったのに 
間違えてクッキー渡しちゃったそうだ。かわいいやつめ。 


これでお土産交換は終わりです。 
後から絡んでくるとか無いんで安心してくださいw

81: :2011/02/19(土) 03:48:06.94 ID:
これか。 
  / ̄ ̄\ 
 γrニ・><・ニ、ヽ 
 |O   O| 
 ヽ `ー―′ノ 
  >――< 
  /[マリモッコリ]ヽ 
 (こL___に) 
 /_ハ(⌒)ハ_> 
  L_∩_亅 
  (__)(__) 
83: :2011/02/19(土) 03:51:16.93 ID:
>>81 
それそれ 


七夕祭り。 
ボク娘が浴衣着てくるんじゃねと一瞬考えたが、 

一人称が「ボク」だから浴衣なんぞ着る訳ないのだ。 
オーバーオールを着たボク娘と一緒に 
祭りの中に飛び込んでいった。 

地元の学生が蟻のように群がる祭りなので、 
友人バレの危険も考えていたが、 
別にオレは気にしなかった。 

なぜなら、そう。 

今日告白しようと決めていたからだ。
85: :2011/02/19(土) 03:57:11.88 ID:
問題は、いつ、どこで告白するか。 
流石にこの人だかりの中 愛の告白なんぞ出来ない。 

祭りが終わって家に帰るとき。これしかない。 

ボク娘が屋台に目移りしてる中、 
オレは頭で物凄いシミュレーションを重ねた。 

「何食べるー?やっぱかき氷?」 

ボク娘の言葉で我に返る。 
「食いたいもん食えばいーよw」 
「じゃあまだかき氷は早いな!どうしよー」 

オレは好きなたこ焼き屋が出してる屋台を見つけたので、 
「たこ焼き食わん?」と言って、列に並ぶことにした。 

列に並んでいる時、 
視界に見覚えのある顔が入ってきた。
88: :2011/02/19(土) 04:02:45.51 ID:
高校の部活の後輩だった。 

だが、そいつは俺たちに何の相談もなしに 
辞めた奴だったのでオレは知らん振りをした。 

向こうも気まずいのか目をそらした。 

どや!先輩には一緒に祭り行く女友達おんねんぞ!! 
どんなもんじゃい!! 

ボク娘が熱々のたこ焼きを食べながらむせてたので 
オレが笑ったら、「ねこひたはの!!」と 
ポカポカ殴ってきて最高にかわいかった。 

その後お目当てのかき氷を食べたり、 
屋台のは高いのでコンビニでジュースを 
買ったりして、リア充ライフを満喫した。 

女と祭り。まさか高校生の間に 
こんなラッキーが巡ってくるとは思わなかった。
89: :2011/02/19(土) 04:04:01.31 ID:
>>88 
俺の殺意が今有頂天に達したっ!
90: :2011/02/19(土) 04:11:19.63 ID:
>>89 
ごめん! 


そして祭りも楽しんだので帰路につくことにした。 

高鳴る胸。どうする・・・いつ言う? 
帰りの電車に揺られながら、頭はぐるぐる回ってた。 

するとボク娘が 
「ホントはさー タルト作ってくるつもりだったんだよ」 

え? 

「オレ男今日誕生日だろ?だからなんか作ったろと思って・・・」 

忘れてた。そうか。今日オレの18歳の誕生日だった。 

「でもさー 起きたら時間無くて 作れんかった!」 

誕生日に手作りのタルト。 
実物こそないがそんなことを 
しようとしてくれたのが嬉しくてたまらなかった。 

オレの誕生日なぞ男友達が 
「作品頑張れよ!」と机に 
リポビタンDをドンと置いてくぐらいだった。 

もう・・・言うしか・・・ 

ちなみにリポビタンDは父親に飲まれた。
91: :2011/02/19(土) 04:18:14.21 ID:
言え!!言え!!!言え!!!!!!!!! 


気がついたら俺は家に帰ってた。 

言えなかった・・・。 
そりゃそうだ、告白なんぞしたこともされたこともない。 
何て言っていいのか。 
もし言ったとして、今の関係が崩れたらどうしよう。 

色々な思いが交差してわけが分からなくなった。 

女のおの字も知らないような奴が、 
突然ギャルゲのような世界に飛ばされたら 
こうなるのは当然だった。 

結局オレは弱虫だった。 

ボク娘から「楽しかったね」とメールがくるも 
いつものような返事しか出来なかった。 

18年間生きてきて、 
女の子とまともに喋れるようになったのが中1の時。 

そんな奴が告白なんぞ、できるわけがない。
98: :2011/02/19(土) 06:01:48.41 ID:
だけどボク娘へのメールに返さないのも嫌だったので、 
いつものように他愛の無い話をしていた。 
メールなら今の気持ちも悟られない。 

「ホルモンめっちゃいい!(`・ω・´) オレ男も聞きな!」 
「オレBUMPの方が好きやもん」 
「何っ! BUMPも良いけどやっぱホルモン!! 
 ライヴいこーぜライヴ!!」 

ライブか・・・でもホルモンの曲は全く知らないので 
あまり乗り気にはなれなかった。 

「そんなん行ってオレがホルモン好きになったらどーするw」 
「それはそれで最高じゃろ!」 
「オレは困るわw」 

いつも通りだ。いつも通りのメール。 
わざわざ自分から壊すことは無い。

99: :2011/02/19(土) 06:02:34.24 ID:
「やっぱ亮君かっけーなぁ!」 
「亮君好きなん?」 
「うん!!めっちゃ好み!! ガタイよくて黒い人がいいな!」 
「へぇ・・・うちの姉ちゃんもそんな感じだわw 
 でもオレの姉ちゃんの彼氏 理想と真逆の人なんだよな」 
「なかなか思い通りに行かんよね(´;ω;`)」 

思い通りに行かない・・・ 
今のオレも・・・そうなん・・・かな・・・ 

そして、ボク娘が、禁断の、扉を、開く。 

「オ レ 男 は 好 き な 子 お ら ん の ? ?」
100: :2011/02/19(土) 06:03:19.85 ID:
メールを見て血の気が引いた。 
何て答えれば良いんだ? 
「オレはお前が好きだよ」? んな文送れるか!! 


「オレは友達みたいに話せる子が好きだな」 
考えた結果がこれだった。 
選んだ道は逃げだった。これしかなかった。 
こうすれば、ボク娘と仲良くしていられる。 


だが、 

次に来たボク娘からのメールで、 

全てが壊れた。 




「そっか オレ男優しいしきっといい彼女できるよ!」 




何かが、 

崩れ落ちる音がした。
101: :2011/02/19(土) 06:04:12.18 ID:
いい彼女?オレに? 
それはお前じゃなくて? 

なに? わかんない。 

オレハ オマエノ ナンナノ? 


蘇る記憶。 
見えないものが離れていくこの感覚。 

そうだ、あれは中学校の時だった。 

中学1年の4月。 
オレは周りが小学校の時とほとんど同じ面子の教室を見回した。 

オレはいわゆる人見知りで、 
小学校の時クラスのかわいい子に 
「おはよう」と言われたのに何もいえなくて 

「返してくれないの~?w」 
と笑われ、「あ、お、おは、よう・・・。」 
とモゴモゴとしか喋れなかった。 

「あははwww返してくれたwwww」 

笑われた。恥ずかしい。 
女の子と話すのは、怖い。
102: :2011/02/19(土) 06:04:55.56 ID:
中学でも小学校の時のような思いをするんだろうなと不安になった。 

入学式が始まるので移動してくださいと言う先生の指示の後、 
クラスのみんながゾロゾロと動き出した。 

そんな時、一人の女の子が話しかけてきた。 

「入学式ってどんぐらいかかるのかな?」 

え? 今、オレに言った・・・んだよな? 
でも1回も喋ったこと無いのに・・・ 

そう思いながら 
「さ、さぁ そんなにかかんないんじゃないかな。」 

女の子の反応をうかがう。 
「だよねw」 

よかった。何か良い雰囲気だ。 
この子となら仲良くなれそう、と直感で思った。
103: :2011/02/19(土) 06:06:02.27 ID:
中学に入って数週間が過ぎ、初めての席替えが行われた。 
隣があの子だったらいいなと願いながらクジを引いた。 

「あw 隣だねw よろしくw」 

そこに居たのはあの子だった。 
神様ってのはやっぱりいるんだと思った。 

この子の名前を仮にナコとする。 

ナコとは馬が合い、 
2人が好きなマイナーゲームの話とかで盛り上がった。 

ナコと話すようになってからは、 
極力女子と話せるようになった。 
ちょっとした冗談も飛ばしたり、 
オレは女子に対する恐怖心が大分和らいだ。
104: :2011/02/19(土) 06:06:43.74 ID:
ボク娘も同じクラスだったが、 
このときは「おとなしい女の子だな」 
ぐらいの印象しかなかった。 

ナコも趣味で作品を書くというので、 
お互いにノートに書いて見せ合ったりした。 


オレは完全にナコに惚れていた。 
今まで女子に優しくされたことなど無いのだから当然だった。 

ナコは毎朝1番乗りで学校に来るので、 
慣れない早起きをして昇降口が開く前から学校に行ったりした。 
少しだけの2人きりの時間がオレにとって一番の楽しみだった。 

今思えば完全にストーカーだが、 
それほどナコに惚れこんでた。
105: :2011/02/19(土) 06:07:25.97 ID:
怖い先輩に絡まれた翌日も、ナコがいるから学校に行けた。 
あの時オレの世界は完全にナコで廻ってた。 

人生で初めて女子にアドレスを訊いた。 
人生で初めて女子に年賀状を送った。 

だが、オレはテンパってアドレスも住所も間違って書いてた。 
それに後から気付いて「じゅ、住所間違ってたかも」と 
言うのにも最大限の勇気を振り絞った。 

中2になると、ナコとはクラスが変わってしまった。 
オレは早起きをやめた。 

たまに他の友人に会いに教室まで来た。 
オレの身長が高いのを気にしたのか、 
手のひらで自分とどれくらい差があるか測ってた。 

オレはもっと頑張れよと言わんばかりにナコの頭を撫でた。 
女子の頭を撫でるなんて初めてだった。
106: :2011/02/19(土) 06:09:18.34 ID:
そんなことがありながらも中1の頃よりは 
格段に話す機会が減った。 
それでもメールはするので、それだけで楽しかった。 

ある日ナコに「好きな人いる?」って訊かれたので、 
「さぁどうでしょうね」と返した。 
「いるってことでいいの?w」 
「えっ? じゃあいない!」 
思えばアレはフラグだったのかも知れない。 

ナコが昔付き合ってた男子との話も聞いたが、 
今は別れてるということなので安心した。 
何よりそんなことを話してくれるのは 
ナコにとってオレが特別だからに違いないと思っていた。 

中3の時、ナコが家に来ることになった。 
「ポケモンちょうだい」という子供っぽい理由だが、 
女子が家に来ることに違いは無かった。 

入念に掃除をして、ナコが来るのを待った。 
家には誰も居なかったので、家族に何か言われる心配はなかった。
107: :2011/02/19(土) 06:10:40.28 ID:
ナコが来た。オレの家に。 
一体何をして良いのか分からず、 
オレはテレビでゲームをして、 
ナコはポケモンを一人でせっせと通信していた。 

き、気まずい・・・。 
ムードもへったくれもあったもんじゃない。 

するとナコがトイレに行きたいと言い出した。 
好きな子が自分ちのトイレに入ってると思うと、 
なんだかドキドキした。 
するとナコがトイレットペーパーの芯を持って出てきた。 

「切れた・・・」 
「あっ ごめん 紙どうしたん?」 
「後ろの棚にあったから勝手に出した」 

好きな子が下を脱いだ状態で 
トイレットペーパーを取り出してるところを想像して、 
さっき以上にドキドキした。
108: :2011/02/19(土) 06:11:22.03 ID:
その日は結局何も無かったが、 
女子を家に招きいれたという事実だけが 
オレの心に深く残った。 


そして卒業式の日。 

「オレ男とは高校別だけど 卒業しても仲良くしようねw」 
「おう!」 

結局想いは伝えられなかったが、 
別にナコに会えなくなったわけじゃないので 
特に悲しくは無かった。 

高1の時、近所の本屋でナコと偶然会った。 

「うわっ!ナコ!」 
「オレ男!びっくりしたw」 

久しぶりの再開に心が躍ったが、 
他の友人と来てたのであいさつもそこそこに退散した。
109: :2011/02/19(土) 06:14:05.61 ID:
その後メールを送った。 

「ナコ何しとったん?」 
「んー 兄貴と家出した」 

はい? 

「ちょっと色々あってねw」 

それ以降、ナコのメールアドレスは使えなくなっていた。 

連絡が取れなくなった。 
家出したのだから年賀状の住所に送っても無意味だろう。 
ナコは今、何してるんだろう? 
なんで家出なんかしたんだろう? 

確認する方法も無い今、どうすることもできなかった。
110: :2011/02/19(土) 06:15:52.93 ID:
数ヵ月後、ある噂を耳にした。 
「ナコさぁ 高校辞めてバイトしてるんだってw 近所のパン屋で」 

高校を辞めた?何があったんだナコ。 

近所のパン屋でバイトしてると言うが、 
どんな顔をして会いに行けば良いのか分からない。 
最後にナコと顔をあわせたのはもう1年近く前だった。 

煮え切らないまま自転車を漕いでいると、 
道路の向こう側にナコの姿が見えた。 





髪を茶髪に染めて、楽しそうに知らない男と2人乗りしているナコを。 

オレの知っているナコは、もういなかった。 


見えないものが、離れていった。
111: :2011/02/19(土) 06:18:52.90 ID:
気がついたらオレは泣いていた。 
そうだ、この感覚。 
ナコの時と同じなんだ。 

思い出したくない苦い思い出が、 
ボク娘のメールでフラッシュバックした。 

涙が止まらない。 

ただ、昔を思い出しただけなのに。 

辛くて、切なくて、たまらなかった。 

また繰り返すのか? 

あの時みたいに。 

自分が思ってることも、打ち明けられないまま? 

オレは、気持ちの整理もつかない状態でボク娘にメールを送った。 

「じゃあお前オレと付き合えんのかよ!?」 

言えなかったはずの言葉が、 
言いたくなかった形で、 
ボク娘に、伝わってしまった。
112: :2011/02/19(土) 06:20:39.45 ID:
言った。言ってしまった。 
もう、これで、何もかも・・・・。 

「おぅ(`・ω・´)」 

えっ 

何、その「おぅ」は? 
YESの「おぅ」なの? 

ダメだ、考えようとしても頭が追いつかない。 
涙をぬぐいながら、メールを打った。 

「変な事言ってごめん。 
 でも、映画とか七夕祭りとか一緒に行って 
 すげぇ楽しかったし 
 オレボク娘のこと好きになってたと思う 

 昔の事思い出したら、 
 なんかすっげぇ泣けてきて、 
 今も涙が止まらん。 

 ほんとごめん。おやすみ。」 

送信した後また涙が溢れてきた。
113: :2011/02/19(土) 06:22:40.03 ID:
いつもは10分以上かかる 
ボク娘の返信が、1分もかからず返ってきた。 

携帯を開くのが凄く重く感じた。 

「寝るな! オレ男落ち着け! 
 ボク今どんなこと言って良いのかわかんないけど・・・ 
 だから明日会って話そう!?」 

明日は学校の補習があるんだってば・・・ 
オレの返信を待たずにボク娘はメールを送ってくる 

「何があっても絶対!!起きたらメールして!」 

会ったら、何を言われる? 
不安で胸がはちきれそうだった。 

オレは学校の補習をサボり、 
ボク娘と会うことになった。
114: :2011/02/19(土) 06:23:41.90 ID:
書き溜め分終わりです。起きたらまた書きます。おやすみ。
116: :2011/02/19(土) 10:53:29.11 ID:
いいところで終わろなぁw
118: :2011/02/19(土) 11:33:03.76 ID:
なあ、これ釣りじゃないよな?お前が書いた小説じゃないよな?頼むからそうだと言ってくれ‼

>>118 
多少いじってはいますけど 
釣りじゃないですよ 
【1/3】 【2/3】 【3/3】


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