314: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)19:24:01 ID:yHm(主)
7月のトーフルを目前に控え留学生たちの目の色が変わってきた。
このテストに合格しなければ、あと1回しかチャンスがないのだから当然だろう。
かくいう僕も奨学金ゲットのために寝食を惜しんで勉強した。
決してお金がないからご飯が食べられないとか、
好きな人にふられて時間が有り余ってるとか、そういう事ではない。

しかしいくら勉強しても模擬テストの結果は少しも良くならず、
トーフル本番が近づくにつれ僕はどんどんやつれていった。






315: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)19:36:59 ID:yHm(主)
真由子さんとはビの一件以来あまり話せないでいる。
カフェテリアであっても別々の席に座ってしまうし、寮でも一緒になる事はない。
うーん、このままではデートに誘えないじゃないか。

こうなったらケイに頼んでもらおうかな。
あいつならニコラ以外の女性の扱いは慣れたものだろう。

「なあケイ、今度のトーフルが終わったらさ、また4人でどっかいかない?」
「……おまえよくそんなこと言えるな?」

あれ?ケイなんか切れてる?

「そりゃ、トーフルを前に少し浮かれすぎてるとは思うよ。
 でもご褒美があるからこそがんばれる事もあるだろ?」
「……ニコラの事か?」
「そう。ニコラとデートできればおまえもハッピー、
 ダブルデートで僕もハッピー!だろ?」

それにこのデートが終わったらたぶんおまえたちは正式なカップルになれるんだし。

「なあ、それっておまえがニコラに俺とデートするよう頼んでるの?」

ん?ケイは何を訊きたいんだ?

「まあ、そういえなくもないかな」
「だったらもうそういう事はやめてくれ!!」

そう叫ぶとケイはカフェテリアを飛び出していった。
一体どうなってるんだ?

316: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)19:47:05 ID:yHm(主)
なんだよケイの奴。人の好意を無碍にしやがって。
たしかにこっちの思惑もあるけれど、それと同じくらいおまえたちには幸せになって欲しいのに。

演劇のクラスで台本の読み合わせをしていたらパメラに心配されてしまった。

「シュウ、あなた大丈夫なの?せっかくのコメディーも怒りながら演じたら台無しよ!」
「すいません……」
「毎日ちゃんとご飯食べてる?お腹がすくと人は怒りっぽくなるものよ」
「そういえばここのところちゃんと食べてないかもしれません」
「原因はそれね!今日はちゃんと晩ご飯を食べるのよ!いいわね!」

そんなこと言われても、食べる気力も、お金も底をついてしまった。

317: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)19:55:13 ID:yHm(主)
部屋で一人、空腹と闘いながらトーフルの勉強をしていたら真由子さんが来た。

「シュウスケ、いる?開けてくれない?」

はぁ、どうしよう。前までだったら一も二もなく開けていただろうに。
ここに来て急に襲ってきたストレスに僕はどう真由子さんと接すればいいか完全にわからなくなっていた。

「シュウスケ、いるんでしょ?大丈夫?開けるよ!」

ま、待ってくれよ。もし僕が裸で寝てたりしたらどうするつもりなんだ。
ああ、もう。こうなったら寝たフリでやり過ごそう。

「あ、寝てたのか……」

僕の狸寝入りが上手くいったのか、真由子さんは僕を起こさないように声を殺している。
やがてドアのしまる音がしたのでドアの方を振り向いてみると、そこに真由子さんがいた。

318: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)20:03:14 ID:yHm(主)
「どうして寝たフリなんか?」
「あ、真由子さん、どうして僕の部屋に?」

すっとぼけてみた。

「パメラがシュウのことが心配だから話を聞いてやってくれって」
「ああ、パメラに言われたから来たんですね」

そりゃそうだ。じゃなきゃ自分から会いにきてくれるわけがないよね。

「もちろんそれもあるけど、私もずっとあなたの事心配してたのよ。
 どうして突然私の事避けるようになったの?」

え?それ本気で言ってます?

「僕が避ける?先によそよそしくなったのは先輩じゃありませんか」
「そりゃあ、ミラのことがあって、シュウにあんなこと言っちゃったのが申し訳なくて……
 でも私がそのことを謝ろうとしてもシュウはいつも私を避けてたでしょ?」

319: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)20:09:16 ID:yHm(主)
ひょっとしてこの人には僕の気持ちが全く伝わっていない?
まあそれも当然か。僕は伝えるべき事を何も言ってないんだから。

「実は……今度のトーフルいい点取れそうになくて……。先輩に会わせる顔がなかったんです」

ああ、ここまで来て僕は何も言い出せないのか。

「なんだー。そんなことだったの?わたしはてっきり……」

てっきり……なんですか?

「そういうことならまたおばちゃんのところで勉強会しようか。
 おばちゃんのチャーハン食べればシュウスケもあっという間に元気になるって」
「……そうですね。じゃあそのうち……」
「今からじゃだめ?」
「今からですか!?」

この人は一体何を考えているんだろう……?

320: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)20:19:08 ID:yHm(主)
いつもなら飲み物のようにお腹に入っていくおばちゃんのチャーハンが
今日は少しも減っていかない。

「ほんとに体調悪いんだね。また今度出直そうか?」

僕の体調の善し悪しはおばちゃんのチャーハンが食べれるかどうかで決まるんですね。

「大丈夫ですよ。もう少し食べてれば元気が出ますから」

そんな気は全くしませんが、また出直す事を考えるとそれだけで胃が痛くなる。

「ねえ、シュウスケ……こんな事訊いて嫌な思いさせたらごめんね」

ああ、来たぞ。僕はもう1度ふられるんだな。

「ケイとニコラを取り合ってるって噂、本当なの?」

……ふぇ?

321: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)20:25:53 ID:yHm(主)
「そんな根も葉もない噂、いったいどこから……」
「どこからって、ケイ自身が言ってたんだけど……」

ええっ!?それどういう事だよ?

「ケイが言うにはね、なんでもシュウスケが好きな人にふられてからニコラに慰められて
 そこから仲良くなったって……」
「そんな事実一切ありませんから!」

あれ?それってひょっとして僕がニコラにご飯作ってもらった日のことを言ってる?

「そうなの?タイミングからして、ひょっとしたら私がシュウスケをふったことに
 なってるのかと思ったけど、気のせいだよね~」

それは気のせいじゃないんですが……

322: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)20:36:17 ID:yHm(主)
そうか、ケイは僕が裏切ってニコラと仲良くしてると思ってるんだ!
それをふまえるとケイの「そういう事やめてくれ!」って発言も意味が変わってくる。
ケイから見たら、僕は奴の好きな人を奪い、あまつさえその子とデートさせてやると
上から目線で語った最低な野郎ってことだ。まったく、どうしてこんなすれちがいが起きたんだ!

「先輩、僕ケイに会わなくちゃいけません」
「実はもう外にいるの。呼んでくるからちょっと待っててね」

真由子さんなんて手回しの良さなんだ!
ん?この抜かりのなさはひょっとしてケイが立てたプランかも?

323: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)20:51:45 ID:yHm(主)
「ケイ、まず最初に言っておくと、僕はニコラと付き合っちゃいないよ?」
「え?でもニコラの手料理食べてただろ?」

何でコイツそんなこと知ってるんだ?

「シュウとニコラが仲良く皿洗ってる所を見たんだからな!」

ああ、そのシーンを見られてたのか。それにしても厄介な勘違いをしたもんだ。
さて、僕の真由子さんへの好意を知られずにケイに説明するにはどうしたらいいかな……

「あの日僕はニコラが誰かさんに手料理を作りたいからって味見を頼まれたんだ」
「誰かさん……?」
「おまえの事だよ、ケイ」
「え、それってつまり……」

ケイの顔がやかんのように上気する。純情だなぁ。

「僕はそれ以上の事は言わない。本人の口から聴くのが一番だろうしね」
「……シュウ、すまなかった」
「ホントにね。僕がどれだけ傷ついたかわかる?」
「ほんとにすまない……俺にできる事ならなんでもするから……」
「じゃあ、今度4人でボストン行ったらまた飯おごってくれる?」
「そんなことでいいのか?もちろん大丈夫だけど」
「よしっ、それならめいいっぱい高級なとこ予約しちゃおうかな」
「おう、どこでもいいぜ!」

そんな、冗談だったのに……。

324: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)21:03:38 ID:yHm(主)
「あ、いつもの4人で行く事考えてましたけど……先輩はどうしますか?」
「もちろん私も行くよ。ケイが高級フレンチおごってくれるんだよね?」
「はい、もちろんです!」

いつのまにか料理の内容まで決まってしまった。
さっきまで軽く修羅場の様相を呈してたのに……。

はぁ、安心したらお腹減ってきたな。

「おばちゃん、エッグロールください!」

340: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)23:11:00 ID:yHm(主)
結局その後はいつも通りトーフルの勉強会となった。
隣りにケイがいるのは少し不思議な気分だけど。
ケイはなんだかんだでチャーハンのコンボを完食していた。
どうだ、おばちゃんのチャーハンはうまいだろう!

寮への帰り道、真由子さんに聞こえないようにケイが小声で話しかけてきた。

「おまえらほんとに勉強会してたんだな」

何をしてると思ってたんだよ。

「おれはてっきり……その、なんだ。
 シュウが節操なくいろんな女の子に手を出してるんだと思ってたんだ」
「はぁっ!?」
「どうかしたのシュウスケ?住宅街だからもう少し静かにね」

すいません、真由子さん。

341: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)23:20:26 ID:yHm(主)
「どうしたら僕にそんなハーレム疑惑が生まれるの?」
「まずは高岡先輩との密会だろ?」
「密会って……」
「それと中院の部屋に着替えを持って入ってったって……」
「ああ、それか」
「え、これはマジなのか!?」
「ケイがパンいちでロックアウトされてたとき、
 僕がリアさんの洗濯のやり方を教えて上げたってだけのことだよ」
「ふーん……パンいちじゃねーし。
 あと、きれいなアメリカ人と抱き合ってたって話があるけど……」
「うわ、目撃されてたのか……」
「これはホントなんだな!?」
「ちげーよ。なんかものすごいビに背中から襲われそうになっただけだよ」
「おいおい、さすがにそんな話信じられねーよ」

342: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)23:28:03 ID:yHm(主)
「それでとどめが僕とニコラがいっしょにあらいものしてるところだったのね」
「……おまえら、めっちゃ仲良さげだったから」
「何話してたかな……?あ、そうだ。たしかイタリア人街にあるおいしい
リストランテの話をしてたんだ。そこでは真っ黒なパスタがでるらしいよ」
「俺にはその様子が新婚カップルのように見えたんだ……」

そうか、そんなに仲良さげに見えたか。
僕としてはニコラはもう近所のちびっ子枠なんだけど。

343: 名無しさん@おーぷん 2015/12/23(水)23:48:22 ID:yHm(主)
中途半端ですいませんが、今日はこの辺りで失礼しますノシ

See you soon, his majesty the emperor!

349: 名無し 2015/12/24(木)16:57:00 ID:J39
メリークリスマス!
奥さまと Have a happy Xmas.

真由子さんとのお熱い想い出話は 今日くらい割愛して、アレちゃんとご家族に気持ちを向けてあげてくださいです。 



354: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)19:37:37 ID:uoL(主)
皆様メリークリスマス
今日もぼちぼち始めていきます!

357: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)19:50:32 ID:uoL(主)
トーフルまで残り数日、ケイはおばちゃんのチャーハンが気に入ったのか
僕と真由子さんを引き連れて毎日お店に訪れた。

「ここのチャーハンを食べるとなんか調子がいいんだよ」

そうだろ、そうだろ。おばちゃんのチャーハンは世界一だろ。

「それにしてもこんなに安くて採算が合うのか……」

それは僕も心配だけど、この値段だからかろうじて通えるんだから余計なアドバイスとかしないでね。

358: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)20:06:31 ID:uoL(主)
おばちゃんのチャーハンを続けて食べたおかげか、僕の体調はすっかり回復した。

トーフル本番にいたってはこれ以上ないコンディションで受けることができた。
これは高得点の予感がする。どうか上手くいってますように!

キャンパスを出ると夏のギラギラした太陽が僕を出迎えてくれた。
冷房で冷えた体に暑い陽射しが心地いい。まあ、持ってあと数分だけど。

日本より湿気がない分夏は過ごしやすい何て言うが、やはり陽射しの元にいると
あっという間にへばってしまう。
そうだ、森の小径なら日陰になってて涼しいかもしれない。
あそこを通って寮に帰ろう。

「ヘイ、君!ちょっといいかな?」

見かけない人だな。真っ黒に日焼けしてるけど、顔つきはアジア人。
東南アジア系の人だろうか?

359: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)20:15:19 ID:uoL(主)
「語学研修所の所長に会いたいんだけど、どこにいるかわからないかい?」

新しい留学生かな?僕たちは6月の頭から授業を受けているが、それはむしろ少数で
大半は遅れてやってくる。こいつもパメラに挨拶しにきたのだろう。

「さっきまで試験官してたから、この建物の3階にいると思うよ」
「おーサンキュー!」
「なんてことないさ」
「君名前は?」

おお、この流れで名前聞くなんて、ひょっとして友達になりたいのかな?

「僕はシュウ。靴のシュウといっしょさ」
「俺はジョージ。ジョージ・ワシントンのジョージでおぼえてくれればいいよ」

靴と大統領……くそ、少し負けた気分。

「それじゃあまたそのうち!」
「ああ、またね」

そういうとジョージは軽い足取りで階段を駆け上がっていった。

360: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)20:19:49 ID:uoL(主)
あんな明るい奴だったらルームメイトになっても問題ないのにな。
ひとり部屋は嬉しいけど、次どんな奴が来るのかと思うと少し不安になる。
でも僕の力じゃどうしようもない事を考えたって無駄だよね。
今はこれからのダブルデートに見落としがないかを考えよう。

361: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)20:29:49 ID:uoL(主)
オシャレをして集合場所に行くとすでにニコラとケイが待っていた。

「シュウおそいよ!なにしてたの~?」
「ごめんごめん。今日のプランを確認してたらこんな時間に……って、真由子さんは?」
「さあ?俺らは見てないけど。ケータイかけてみたら?」

僕が真由子さんの携帯に電話をかけていると寮からリア様が出てきた。
あれ?一人で行動してるなんて珍しいな。また高橋さんとけんかでもしたのかな。

「もしもし、シュウ?」
「あ、先輩、どうしたんですか?もうすぐバス来ちゃいますよ」
「それが今日はどうしてもはずせない用事ができちゃってさ」
「ええっ!?」

そんな!せっかく真由子さんのために最高のフレンチレストランを予約したのに!
(支払いはケイだけど)

「ディナー4人分予約しちゃったんですけど、なんとか間に合いませんか?」
「うん、ちょっと間に合いそうにないかな。あ、でも代役立てたから大丈夫!」
「代役……ですか?」
「うん。リアちゃんそっちに行ってない?」

「お待たせしました皆さん。さあ、行きましょうか!」

いったいどうしてこうなった!?

362: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)20:40:43 ID:uoL(主)
「皆さん、本日はよろしくお願いしますね」
「どうして中院さんが?」

ケイが不思議に思うのも仕方ないね。僕も頭の中がクエスチョンマークだらけなんだから。

「真由子さんはどうしてもはずせない用事ができてしまったとかで、私が変わりにきたのですわ」

いや、だからってなんでリア様が?
ハッ!?そういえばいつのまにかリアちゃん、真由子さん呼びになってる!

「いつのまにそんなに仲良くなったの?」
「皆さんがトーフルのクラスを受けているときにちょっと仲良くなりまして」

そうか!トーフル合格してたら真由子さんと仲良くなるチャンスだったのか!
1ヶ月前に戻ってやり直……しても無駄だったな。真由子さんには彼氏がいるんだから。
今日のデートはそんな彼女への思いを断ち切るための物だったのにどうしてくれる!

363: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)20:44:11 ID:uoL(主)
バスに乗り込むとケイは首尾よくニコラの隣りに腰掛けた。
はいはい、僕は一人でむなしく座りますよ。

「隣り、よろしいですか?」

え、むしろこちらから訊きたい。よろしいんですか?

364: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)20:55:17 ID:uoL(主)
「ただでさえ僕に関する変な噂たってるのに、こんなことして大丈夫?
 っていうか噂に巻き込んじゃってごめん!!」

そうだよ、僕には『リア様の部屋に着替えを持って訪れた疑惑』があるのだ。
そんな2人がバスに並んで座ってる所を誰かに見られでもしたら
リア様の名誉をさらに傷つけてしまいかねない!

「気にしないでください。そもそもあの時は全面的に私が悪かったんですし。
 加納くんが気にやむ事じゃありません」
「でももし誰かに見られてあらぬ噂でも立てられたりしたら……」
「大丈夫です。以前の噂は桜井君がちゃんと火消ししてくれましたから」

ケイが!?いつのまに……。ちゃんと僕との約束守ってくれたんだな。
ありがとよ、ケイ。

365: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)21:02:18 ID:uoL(主)
「今日はどちらに行くんですか?突然の事で私真由子さんに何も聞いてませんの」

何も聞いてないのに来てくれるなんて、よっぽど真由子さんと仲良くなったんだね。
……僕でも『真由子さん』って呼べてないのに。

「リアちゃん、真由子さんの仲なんだね」
「ええ。いっしょにバドミントンをするうちに意気投合しまして」

ああ、ダイエットまだ続いてたんだ。やる必要ないだろうに。

366: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)21:10:39 ID:uoL(主)
「今リアちゃんって呼ばれたのかと思って、一瞬ドキッとしてしまいました」

え、何その反応?かわいいじゃねえか!

「じゃあこれからはリアちゃんって呼ぼうか?」
「それはやめてください」

即否定かよ!まあいいけどさ。

「それで今日はどちらに?」
「ボストンにある水族館だよ。リアさんたちはもう行ったことあるんじゃない?」
「え!?ボストンに水族館があるんですか!?」

お、まだ行った事がないのか。これならちゃんと4人で楽しめそうだ。

367: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)21:49:07 ID:rhh
おお!こんな日に大丈夫なのか?

369: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:09:31 ID:uoL(主)
>>367
メインはイブから今朝にかけてなので今日はいつもと変わらないです
アレックスはスケート見てましたし、そのあとはいつも通りアニメタイムでした

370: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:10:24 ID:uoL(主)
「入場チケットまとめて買ってくるから現金だしてね」
「すいません、私現金は……」

そうだった、持ち歩かない主義だったね。

「カードでよろしいかしら?」

と言ってリア様が取り出したカードは、なんだか恐れ多い色をしている。黒い。

「いいよ、今日は俺が持つって約束だったから」

そういってケイが一人ですたすたチケットを買いにいってしまった。
チクショウ、なんてかっこいいんだ。ディナーだけの約束だっただろ?

371: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:16:07 ID:uoL(主)
「桜井君は頼りになりますねぇ」

どうせ僕は貧乏人ですよ。あ、それと

「リアさん、ニコラが一緒にいる時は英語話してもらってもいい?」
「あ、そうでしたね!すいません気がまわらずに……」

そういえばリア様が英語喋る所って見たこと無いな。
どんなふうに喋るんだろう?

「ニコラ、ハウアーユー(ご機嫌いかが)?」

そこからか!

372: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:21:25 ID:uoL(主)
「調子いいかって?最高だよ!だってペンギンが見れるんだからね!」
「あら、あなたはペンギンがお好きなの?」
「うん!だってあいつら、白黒で、ふかふかで、超~かわいいじゃん!」
「それは楽しみですね!」

なんだ、普通に喋れてるじゃないか。さすがはトーフル合格者ってところか。

「さあ、お嬢様方、中にお入りください」

ケイが紳士然とした振る舞いで入場口を指し示す。
いちいち様になるのが悔しかっこいい。

373: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:28:56 ID:uoL(主)
「うわ~!!こんなに近くにペンギンがいる!すごい!かわいい!!」

本物のペンギンを見た瞬間にニコラのテンションがマックスを振り切った。
手すりにつかまりぴょんぴょん飛び跳ねている。子供かっ!

ケイはその横でニコラがペンギンのコーナーに落ちてしまわないかとおろおろしている。
こうやってみると恋人と言うより親子だね。

「ねえ加納くん」
「なんだいリアさん?」
「加納くんはあの2人をくっつけようとしてるんですってね?」
「な、なぜそれを!?」
「真由子さんに聞きました」

ま、まずい。リア様の取り巻きにはケイの事が好きな子が大勢いたはずだ。
ひょっとしてリア様は2人の仲を邪魔するために今日来たの?

374: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:34:21 ID:uoL(主)
「リアさんは……あの2人をどう思う?」
「素敵ですわねぇ。障害を乗り越える恋」

障害ってあなたの取り巻きたちの事?

「たしかにニコラにはたくさんライバルがいそうだもんね……」
「あら?ひょっとして高橋さんたちのことを言ってらっしゃるの?」
「うん……。彼女たちもケイの事狙ってるんだよね?」
「狙ってるだなんて、そんなハンティングのように言わないでもらえます?」

すいません。そんなイメージしかありません。

375: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:41:15 ID:uoL(主)
「高橋さんたちならもう桜井君の事は諦めてますよ」
「え?嘘!?なんで?いつから?」
「半数はボストンコモンで桜井君がニコラとバドミントンをやるのを見て諦めたようです」

たしかにあのときからすでにケイはニコラにラブラブ光線送ってたからなぁ。

「残りの方は独立記念日のパーティーで」
「あれ?でもあのときニコラいなかったよね?」
「だからこそです。桜井君、ニコラといる時はすごくいい笑顔をするでしょう?」

うん、たしかに。今も幸せそうな困り顔を作ると言う器用な真似をしている。

「それがパーティーの時は明らかに愛想笑いでしたから。
 せっかくオシャレをして話しかけたのに、喜んでもらえないなんて寂しすぎますものね。
 みなさん諦めていましたよ」

そんな簡単に諦められるものなの!?
相手に好きな人がいてもまだ付き合ってないならチャンスがあるじゃないか!

……って、取り巻き側に感情移入してどうするんだ僕。

376: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:48:34 ID:uoL(主)
今は素直にニコラのライバルが減った事を喜ぼうじゃないか!

「ちなみにあのパーティーで何組かカップルが生まれたんですよ」
「え、マジで!?いったいどれだけ手が早いんだ!」
「だからそんな言い方やめてください!」

すいません。奥手な僕には信じられなかったんです。

377: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:51:10 ID:uoL(主)
「はあ、カップル成立かぁ……。こっちは失恋した上、みんなから嫌われてるのに……」
「失恋!?どういう事ですか?真由子さんに振られたんですか?」
「……そんな大きな声で言わないでくれる?」
「失礼しました。それでどうなんですか!?」

小さい声で叫んでる。器用だなー。

379: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:55:06 ID:uoL(主)
「別に直接振られたわけじゃないよ。真由子さんに彼氏がいるってわかっちゃったんだ」
「あらまぁ……。それはなんというか……残念でしたね」

ええ、僕はとても残念な子です。だからもうそれ以上は何も言わないで。

「あれ?どこに行ったんでしょう?」

僕の恋の行方ですか?そんなの僕が知りたいです。

「桜井君とニコラがいなくなってしまいました」
「えぇっ!?」

380: 名無しさん@おーぷん 2015/12/25(金)23:57:50 ID:uoL(主)

「まあ、2人の事は気にせず水族館を楽しみましょうか」

切り替え早っ!

「そんなこといっても、僕はあいつらをくっつけなきゃいけないし……」
「それならなおの事、2人きりにしてあげるのがよろしいんじゃないかしら?」
「でもそれだと緊張するからってダブルデートにしたわけで……」
「加納くんも先ほどの2人の顔を見たでしょう?何も心配する事はございません」

たしかにそうかもな。……ケイ、ちゃんとデートを成功させろよ!



383: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)00:04:47 ID:tvi(主)
それでは今日はこのへんで

See you soon, have a nice dream!

387: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)19:03:54 ID:tvi(主)
ケイたちとはぐれた僕とリア様は別なコースをまわる事にした。

「世界のジェリーフィッシュ……クラゲ展ですか。行ってみましょう」

リア様は積極的にどんどん歩いていく。ボストンを観光するときもこうやって友達をぐいぐい引っ張ってるんだろうか。

388: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)19:15:56 ID:tvi(主)
「ところで『みんなから嫌われてる』ってどういうことです?」
「ん?何の話?」
「『失恋した上、みんなから嫌われてるのに』ってさっき言ってたじゃないですか」
「あぁ……。だって高橋さんいつも僕の事睨んでるよね?」

洗濯の一件以来、とにかく高橋さんが怖くて仕方ない。
自分の仕事を奪った僕を目の敵にしてるんだと思う。
まあ、さわらぬ神に祟りはないって言うから
できるだけかち合わないようにしてるんだけどね。

389: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)19:42:23 ID:tvi(主)
「あれ?高橋さんからお話ありませんでした?」
「お話?」
「ええ。加納くんに仲直りの仲介をしてもらったことをあの子に話したら
 お礼が言いたいからと、すぐに飛び出していきましたのに」

え?それはいつのこと?高橋さんからお礼を言われた覚えなんて全く無いんですけど。

「いつって、私たちが仲直りをしてすぐの事ですよ」

ああっ!ひょっとして高橋さんが洗濯ものを取りにランドリーにおりてきた時か?
たしか僕はあのとき映画の真似をしてて……なんか気まずくなって、
高橋さんが洗濯物を取り込んでる間に部屋に逃げ帰ったんだった。

「お二人は一度ちゃんと話し合った方が良さそうですね」

390: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)19:57:06 ID:tvi(主)
はぁ……。日本人同士でさえこんなにコミュニケーションをとるのが難しいのに
アメリカで大学生活なんて僕に送ることができるだろうか?
現地の恋人を作ればあっというまに意思疎通できるようになるなんてよく言うけど
その恋人を作るまでのコミュ力をどうやって高めればいいのやら。

391: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)20:27:32 ID:tvi(主)
「あ、そういえばリアさんはどうなの?」
「どう、とは?」
「好きな人できた?」
「なっ!?」

おお、トマトみたいに顔を真っ赤にしちゃって……。
これはひょっとすると……

「リアさんは自立して好きな人と結婚するためにアメリカ来てるんでしょ?
 なのに好きな人がいないんじゃ、目標が定まらないんじゃない?」

なんてね。ホントは僕の好きな人がバレてるから、こっちも知っておきたいだけなんだけど。

392: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)21:03:16 ID:tvi(主)
「私にはまだそういう人はいません!」
「ほんとに~?そういえば以前ぺっくんが
 猛烈なアピールしてたけどあれはどうなったの?」
「特に何もありませんよ。それにあの方は私が好きなのではなくて
 日本人のガールフレンドが欲しいだけのようですし」

よくみてらっしゃるなぁ。リア様案外男を見る目はあるのかな。

「はあ、クラゲはお気楽そうでうらやましい」

393: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)21:13:53 ID:tvi(主)
クラゲって水槽のクラゲの事だよね?僕の事を暗喩したわけじゃないよね……?
リア様の視線はクラゲの先、どこか遠い物を見ているような気がする。
どこか寂しげな面持ちに見えるのは気のせいだろうか。
ひょっとしたらリアパパに何か言われたのかな……?

「リアさん大丈夫?」
「どうしたんです突然」

振り向いたリア様の顔はいつもの自信溢れる顔だった。

「さあ、他のコーナーへ行きましょう!ウミガメはいないかしら?私大好きなんです!」

394: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)21:27:17 ID:tvi(主)
リア様と一通りまわってペンギンのコーナーに戻ってくると
ケイとニコラが仲良く手をつないでいた。
そうか、落ち着くべき所に落ち着いたか。よかったね2人とも。
僕の分まで幸せになってくれよ!

「いい雰囲気ですわねぇ」
「そうだね」

まさかリア様がこんな形で2人を応援してくれるとはなぁ。

395: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)21:45:32 ID:tvi(主)
あれ?そういえばリア様変なこと言ってなかったっけ?

「ねえリアさん、さっき『障害を乗り越える恋』がどうのって言ってたけど、あれどういう意味?ニコラにライバルが大勢いるってことではないんだよね?」
「まあ、これくらいの歳の差カップルなら、障害は言いすぎでしょうか」

歳の差カップル?そういえばニコラって何歳だっけ?

「たかだか5歳の差なんて、2人に愛さえあれば問題ありませんよね」

396: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)21:53:31 ID:tvi(主)
……いやいやいや、問題ありまくりでしょ!?5歳差!?
ケイが僕と同じ18歳だから……13歳!?

「ニコラって中学生なの!?」
「たしか飛び級でアメリカの大学にやってきたそうですよ」

まじかよ……。これ僕だけが知らなかったのかな?
ケイも知らないと思うんだけど……
まさかケイはロリコ……いやいやいや!

397: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)22:11:17 ID:tvi(主)
「リアさん、ケイには僕から話すから……その、ニコラの歳の事は言わないでね」
「どういうことですか?」
「もしかしたらケイはニコラの歳を知らないかもしれないんだ」
「そんなまさか、フフフ」

リア様笑ってるけど、ケイが知ってても知らなくても笑い事で終わらないからね。
知ってて付き合うならロリコンだし、知らなかったら……
ケイはどう感じるだろう。心配だ。

398: 名無しさん@おーぷん 2015/12/26(土)22:24:05 ID:tvi(主)
僕が真剣に悩んでるのを察してくれたのか、リア様は黙っていてくれると約束してくれた。
この事は男同士、2人きりになったら話すとしよう。
今日の豪華ディナーを食べる前に話が立ち消えしちゃったらもったいないしね。

それにしても子供っぽい大学生だと思ってたが、まさか大学生っぽい子供だったとは……。

402: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)20:09:28 ID:BJl(主)
「お、シュウ!おまえどこ行ってたんだよ~」

超ご機嫌だね。こっちはニコラの歳を知って心中穏やかじゃないって言うのに。

「気を利かせて2人っきりにしてくれたんだろ、ありがとな!
 おかげで……おっと、詳しい話は帰ってからな。
 レディーたちを待たせちゃダメだから」

うんそうだね。僕もおまえに話したいことがあったからちょうどいいよ。
とりあえず今はこれからの時間を楽しむ事だけに集中しよう。

403: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)20:28:01 ID:BJl(主)
一通り観て水族館を出るとお土産屋があった。
ケイとニコラは2人で楽しそうに入っていってしまう。
リア様は少し後ろから若い2人を応援するおばちゃんのような目で見守っているし。

事実を知らなければ微笑ましい光景なんだけどなぁ。

404: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)21:05:38 ID:BJl(主)
「不満そうな顔ですね」
「ん?そう見える?」
「レディーといっしょにいるのにそんな顔してはダメですよ」
「リアさんと一緒にまわれるのは楽しいんだけどさ……」
「まあ、ありがとうございます」

いかんいかん、楽しむ事に集中っ!

「リアさんは何か買わないの?」
「そうですねぇ……高橋さんたちに何か買っていこうかしら。
 そういう加納くんは真由子さんに……あっ」

僕が振られたって事完全に忘れてましたね?

405: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)21:30:57 ID:BJl(主)
お土産を見ていたらレストランの予約時間になったので移動した。

水族館近くのフランス料理で探したんだけど……高級すぎない?

「お、シュウおまえいいレストラン知ってるな」
「ケイの知ってるお店だった?」
「いや。でもインテリアを見れば店のグレードはなんとなくわかるだろ?」

わかるだろ?って言われても……

「そうですわね。フランスのヌーベルキュイジーヌの素敵なお店にも
 素敵なインテリアが……」

ケイとリア様が僕のわからない次元で喋り始めてしまった。
どうやらとんでもない所を予約してしまったらしい。

406: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)21:37:39 ID:BJl(主)
メニューを見ると案の定見たこと無い価格が並んでいた。

「これ800円じゃないんだよね?」
「ああ、800ドルだな。それ頼むの?」

冗談じゃない!1回の食事に8万円ってどうゆう事だよ!?

「ワイン込みのお値段ですから」

ですから?お安いですよとでも続くのだろうか。
こいつらの金銭感覚が怖い!!

407: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)21:44:36 ID:Fv9
予約はケイじゃなくてイッチがやったの?

408: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)21:44:54 ID:BJl(主)
>>407
そうだよ

409: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)21:55:17 ID:BJl(主)
恐れ多すぎたのでケイと同じものをたのむことにした。
それでも数百ドルしてるんだけど……。
結局皆で同じコースを食べる事になった。

出てきた料理はどれも色鮮やかで美しく、これまで味わった事のないおいしさだった!

「私こんな豪華な食事初めて!ありがとうケイ」
「どういたしまして。君の喜ぶ顔が見れたから僕もうれしいよ」

あれ?ケイがなんだか女慣れしたイケメンのような事言ってる……。
告白の成功が自信につながったのかな?

410: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)22:15:35 ID:BJl(主)
「加納くん、食べ終わったならフォークとナイフはこのように縦に置くんですよ」

なるほど、これが正しいテーブルマナーか。

「中院さん、それはイギリス式だよね。フランス料理のお店ではこうやって斜めに置くのが正しいんだよ」

え?そうなの?さすがケイは物知りだなぁ。

「あら。この辺りはニューイングランドと言うくらい英国の影響が色濃いんじゃなくて?
ですから英国式が正しいと思いますけど」

いったいどっちなんだよ~!

411: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)22:26:41 ID:BJl(主)
「ねえケイ、この料理おいしかったけどなんていうもの?」
「ああ、これは牛フィレ肉のステーキ・フォアグラのせだよ」

ニコラ、ファインプレイ!ケイの顔が一気に蕩けた。

「今のがフォアグラだったのか……。何かのレバーかと思ったよ……」
「あら、何も間違っていませんよ。フォアグラはガチョウのレバーですから」
「そうなの?そう思うとだいぶ身近な食材に感じるなぁ」

しかしメニューで単品の価格を見たら目の玉が飛び出るかと思った。

412: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)22:41:45 ID:BJl(主)
結局リア様は最後まで英国式で、ケイはフランス式で通していた。
僕は最後まで2人の顔色をうかがってどっち付かずな置き方をしてたけど。

2人からすると僕のマナーは相当悪かったらしくいろいろ直されてしまった。
ひざの上に手を置いてたらそれだけで怒られちゃう始末。
手は基本的にテーブルの上に出しておかないといけないんだってさ。なんだそれー。

とってもおいしい料理だったけど、とっても厳しいディナーでした。

413: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)22:54:38 ID:BJl(主)
レストランを出ると港の夜景を見ようと先導して歩き出した。
言われなくてもその予定でしたよー。

水族館の前まで来るとケイが

「あ、そういえば水族館に忘れ物したからちょっととってくる!」

といって走っていってしまった。いったい何を忘れたと言うんだ?

414: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)22:55:22 ID:BJl(主)
ケイが が抜けたなぁ

415: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)23:02:52 ID:BJl(主)
「おまたせ~」という声とともに巨大なペンギンがやってきた!

「ケイ……何そのペンギン?」
「ニコラ、君へのプレゼントだよ!」

え!?急にそんなプレゼントされても困るだけじゃ……

「お~ケイ!なんてことなの!」

ほらみろ~

「こんなに素敵なプレゼントってないわ!ありがとう!」

えええ?どうしてペンギンはさんで抱き合ってんのぉ!?

416: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)23:04:54 ID:BJl(主)
あ、ぬいぐるみって書くの忘れてた。
書かなくてもわかるかな?

417: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)23:25:47 ID:BJl(主)
「ちくしょういいなぁ……」
「あら、うらやましいんですか?でしたら今日の記念にこちらをどうぞ」

え?リア様から僕に!?

「ペンギンのフォトフレームです。よろしければ使ってください」

リア様がカバンから取り出したのはかわいらしい包みだった。

「ありがとう……。まさかもらえると思ってなかったからすごくうれしいよ」
「こちらこそ。突然参加した私に1日付き合ってくださりありがとうございました」

418: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)23:38:15 ID:BJl(主)
リア様こんなにいい子だったのか……。あ、ひょっとしてこれって

「これ友達へのプレゼントじゃないの?」
「よく考えたら1個余分に買っていたのでどうぞもらってください」

そんなわけないでしょう。いくらお金持ちでもそんな間違いはしない……と思いたい。
もしかしたらリア様の分だったんじゃないかなぁ……
よし、この恩は卒業までに絶対返してみせますからね!

419: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)23:39:00 ID:oHU
ええ子や…

420: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)23:43:31 ID:BJl(主)
「へーフォトフレームか。だったら記念写真もとっておかないとな!」

ケイが率先して港をバックに写真を撮ることになった。
4人で撮ったり、相手を交換しながらペアで撮ったり。
よりにもよって一番写真写りがよかったのはケイと一緒に撮ったやつだった。
うーん、もったいないけど、これを飾るのはあらぬ誤解を生みそうだからやめておこう。

421: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)23:56:38 ID:p3U
>>名無しさん@おーぷん :2015/12/27(日)21:37:39 ID:BJl(主) × メニューを見ると案の定見たこと無い価格が並んでいた。

>>「これ800円じゃないんだよね?」
>>「ああ、800ドルだな。それ頼むの?」

>>冗談じゃない!1回の食事に8万円ってどうゆう事だよ!?

>>「ワイン込みのお値段ですから」

質問です。この当時って18歳だけどお酒って飲めたの?アメリカって厳しそうだけど。

422: 名無しさん@おーぷん 2015/12/27(日)23:57:20 ID:BJl(主)
>>421
お酒は22歳からなので飲めません
僕たちが頼んだのはワインのないコースです

423: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)00:02:58 ID:a69(主)
タクシーで寮まで帰るとケイはニコラを、僕はリア様を部屋まで送っていった。
リア様の部屋では高橋さんが僕の見た事ない笑顔でリア様を迎えていたけど
僕の存在に気付いた瞬間とても微妙な顔になった。
リア様は彼女が僕にお礼をしたがってると言っていたけど、ちょっと信じられないなぁ。

部屋に帰って荷物を置き、僕は地下の談話室に向かう。
これからケイにニコラの年齢を伝えるんだ。

しかしケイはニコラの事で一度廃人化した男だからなぁ。
ホントにこの事実を伝えてもいいものか……
いっそのこと8月のトーフルまでだまっておいたほうが……

ああ、僕はどうすればいいんだ!?

424: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)00:03:42 ID:Jnx
そうなんですね。失礼しました。
予約はシュウさんがしたということでしたが、 
メニューや予算は確認されていないのですか?

425: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)00:06:35 ID:a69(主)
>>424
水族館から歩いていける所を重視したらこんなことになりました
会計はケイが持ってくれるってことだったので予算は全く気にしてませんでしたねwww

426: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)00:07:30 ID:a69(主)
それでは今日はここまでです

See you soon, have a nice dream!

427: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)00:11:03 ID:ECL
お疲れ様でした~!

428: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)01:09:16 ID:SbO
お疲れサマー( ´ ▽ ` )ノ

429: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)12:23:39 ID:a69(主)
談話室に降りるとジョージがいた。
一人でプールの練習をしている。

「やあジョージ。大統領のジョージ」
「ああ、靴のシュウじゃん。調子どう?」

おいしいもの食べて体調は万全だけど、精神面は絶賛モヤモヤ中だよ。

「君もこの寮に住むことになったの?」
「いや、俺は車で」
「免許持ってるんだ?そういえばジョージって今いくつなの?」
「20歳だよ」

年上だったのか。まあ英語だからため口も敬語も関係ない。
誰とでもフランクに話せるのは英語のいい所かもね。

430: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)12:41:17 ID:a69(主)
「シュウは?」
「18歳。免許は持ってるんだけど、アメリカでは運転できないんだ」
「俺と逆だな。俺はアメリカでは免許持ってるんだけど、本国では運転できない」
「じゃあこっちでの生活は結構長いの?」
「ちょうど2年くらいになるな」

そんなやつでも語学研修所にくるんだなぁ。よっぽどいい大学を狙ってるのかな?

「どうだ、シュウもやらないか?」

そういってジョージはプールのキューをこちらに差し出した。

「ありがとう。でもこれから人と会う約束をしてるから」
「ひょっとしてここでか?席はずすよ」
「外で話してくるからいいよ。どうぞごゆっくり」

こいつやっぱりいい奴っぽいなぁ。ルームメイトじゃないのが残念。
そんな事を思っていたら外へと続くドアをケイがノックしている。

「それじゃあジョージ、またね」
「ああ、またな、シュウ」

431: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)12:45:49 ID:a69(主)
つづきはまた夜に
CUノシ

432: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)14:07:58 ID:5yl
アレちゃんまだかなー

433: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)18:20:11 ID:Wqw
プールのキューって何?

434: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)18:28:13 ID:lk3
ビリヤード

435: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)18:46:57 ID:3z0
プールはビリヤード場
キューは玉を突く棒

436: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)19:15:06 ID:Wqw
サンクス

437: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)19:38:52 ID:a69(主)
外へのドアを開けると夏の夜の風が吹き込んでくる。
人がいるから歩こうと促すとケイもついてきてくれた。

「あれ誰だ?見たこと無いけど」
「ジョージ。今日来たばかりみたいだよ」
「へぇ。アジア人ぽい顔つきだけど生まれは?」
「あれ?そういえば訊いてないや。タイとかそのへんじゃない?」

語学研修所で様々な外国人と接するうちに顔を見るだけでどこの出身か少しずつわかるようになってきた。
ジョージの顔はどことなくペッくんと同じ遺伝子を感じる。
ただ体つきがやけにしっかりしてるから、キックボクシングでもやってるかもしれないな。


「まあ、そんなことはどうでもいい。俺の話を聞いてくれ」

そういうとケイは月夜の森の小径に歩き出した。
さあ、どうやって話を切り出そう。

438: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)19:48:36 ID:a69(主)
僕が話あぐねているとケイの方から話を振ってきた。

「今日おまえらがいなくなって2人っきりになってな」

まずい、このまま話が進んだらとても言い出せそうにない。

「ケイ、その前に僕からひとついいか?」
「先に言わせてくれよ。おまえの話は後で聞くから」

あとじゃまずいんだって。おまえののろけ話を聞いたあとで、
どんな顔してニコラの年齢を打ち明ければいいって言うんだ。

「いいから聞けって。ケイ、おまえ二コラの年齢を知ってるか?」
「……なんだ、その話か。13歳だろ?」

え?知ってたの!?じゃあおまえは初めから13歳の女の子を狙って……

「言っとくけど、13歳って知ったのは今日だからな!」

僕の心の中を読んだのかケイが少し焦って付け加えた。

「ニコラから打ち明けられたの?」
「だからその話をしてやるから黙って聞けって」

おう。納得できる説明をお願いします。

440: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)19:54:17 ID:a69(主)
「おまえらがいなくなったあと、2人きりでいろいろ見て回ってたら、
 だんだんいい雰囲気になってきてな。ほら、ニコラって海が好きだろ?
 水族館って場所が良かったんだな」

そうだろそうだろ。僕のデートスポットチョイスに間違いはなかった。
ガイドブック様さまだな。

「あの水族館、海の中にいるようなガラスのトンネルがあるだろ?
 あそこで告白する事にしたんだ。そしたらニコラが先に
 『ごめん、私ケイに秘密にしてた事があるの』って言うんだ。
 話を聞くと13歳だって事を秘密にしてたらしくて」
「へえ、ニコラから打ち明けたんだ」

これまで秘密にしてたのにどうしてここで言う気になったんだろう?
ケイと付き合いたいならむしろ黙ってた方がいいだろうに。

「ああ。たぶん俺が告白することを察知して教えてくれたんだろうな。
 俺が告白してから傷つかないように」

ああなるほど。こいつがへこんでる所は正直もう見たくないしな。
ニコラナイス判断!

441: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)19:55:15 ID:a69(主)
>>439
そんなこと言ってもらえるとは光栄です

447: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)20:19:23 ID:a69(主)
「これはニコラがあとで教えてくれたんだけど、年齢を打ち明けられて俺の気持ちが
 彼女から離れるようだったら、そこまでにするつもりだったんだってさ」

ニコラも腹くくってたんだなぁ。

「それでケイはなんて言ったの?さすがに13歳はショックだったろ?」

もし僕の好きな子が13歳だったらどう思うだろう?
真由子さんが13歳だったら……。ダメだリアリティがなさ過ぎてイメージできない。

「たしかに少しはショックだったな。でも俺は言ってやったんだよ。
 『俺は13歳の女の子を好きになった覚えはない。
  大好きな人がたまたま5歳年下だっただけだ!』ってな」

おお、さすがはケイ!僕には言えないセリフをさらりと言ってのける!
こんなかっこいい事言えるようになってみたいなぁ。

449: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)21:11:17 ID:a69(主)
「そしたらニコラが『私の大好きな人も5歳年上なんだけどどうすればいいと思う?』って!
 もうね、死んでもいいわ!って思ったね!」

これなんだっけ?I love you,too.って意味だったかな。
紳士にはこういう文学的素養が標準装備されてるのかな?

「はいはい、おめでと」
「あれ?なんか冷たくね?」
「僕は今日リア様からニコラが13歳だって教えられて、
 一日中どうやって伝えたらおまえが傷つかないか考えてたっていうのに……」

こんなことならもっとリア様との散策を楽しんでおくんだった。

「あ、だからおまえ難しい顔してたのか」
「それなのに本人同士で解決しちゃってさ」
「ハハハ。俺の事そんなに心配してくれてたんだ。ありがとう」

笑い事じゃないよ、全く。

450: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)21:19:41 ID:a69(主)
「それでこれからどうするの?」
「これから?」
「あの様子だと付き合う事にはなったみたいだけど……それって法的に大丈夫なの?」
「さあ、どうだろうな。俺もその辺は詳しくないから。でも愛があればそんなの関係ないよ」
「愛があっても問題になる事があるだろうが。たとえ恋人同士でも」
「まあその辺はいずれ時間が解決してくれるさ。
 大学で4年間いっしょに過ごせばニコラは17で、俺は22歳。
 な、これなら何の問題もないだろう?」

ずいぶん気の長い話だけどな。ケイがそれでいいなら僕から言う事は何もないよ。

451: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)21:27:15 ID:a69(主)
「ところで今回のトーフルはどうだったのよ?」

いくら付き合うことになったと言えど、同じ学校に行けないようじゃこれから先キツいんじゃないか?

「だいぶ手応えはあったぞ。ひょっとしたら合格してるかもな」

その自信はどこからやってくるんだろう。合格できなきゃ離ればなれになるというのに。
ちょっと恋に浮かれすぎじゃないかい?

「そういえばニコラには言ってあるの?同じ大学に行く事」
「ああ。告白と同時にな」
「ずいぶん喜んだんじゃない?」
「それはもう飛び跳ねながら喜んでたよ。その様子がまたかわいくってさ」

はいはいゴチソウサマ。

452: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)21:30:25 ID:a69(主)
アニメタイム行ってきます

453: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)21:31:25 ID:CH0
いてらー

454: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)23:32:30 ID:a69(主)
「あんなにいい子なかなかいないから大切にするんだぞ」
「おまえはニコラの親戚のおじさんか何かかよ?もちろん大切にするさ。
 で、シュウはこれからどうすんの?」
「僕かぁ……。僕は今日真由子さんときっちりけじめを付けるつもりだったんだけどなぁ」
「そんなことするのやめとけば?これからも同じ学校に通うんだろ」
「ああ、そっか。思いを告げてお互いぎくしゃくするよりも、僕がすっぱり諦めればこのままの関係が続くのか」
「すっぱり諦められるの?」
「……ケイは僕にどうさせたいの?告白させたいの?させたくないの?」
「俺はシュウにとってどうするのが1番いいか考えてるだけだよ」

あ、この顔は冗談じゃないな。ほんとに僕の事真剣にを考えてくれてる気がする。

455: 名無しさん@おーぷん 2015/12/28(月)23:43:34 ID:a69(主)
「僕にとっての1番か……」

奨学金ゲットする事?いや、それは生活していくための手段だ。
ハリウッドで活躍する……のは目標にするは遠すぎる。

「そういえば中院さんとはどうなのよ?」
「は?どうしてここでリア様がでてくるの?」
「ほら、そのリア様ってやつ。なにそれ?」
「ああ、心の中ではそう呼んでるんだ」
「ふうん、じゃあそのリア様と付き合うって選択肢はないの?」

はぁっ!?何言ってんのこいつ?真剣に考えてくれてるんじゃなかったの!?

456: 名無しさん@おーぷん 2015/12/29(火)00:06:43 ID:fy9(主)
「別に冗談で言ってないからな」
「じゃあどうしてそんな考えにいたったんだよ?」
「おまえ高岡先輩よりも中院さんとの方が本音出せてない?」
「よくわかったな。そうなんだよ。なぜかリア様の前では思ってる事ぽろっと言っちゃってさ」

なんでなんだろう。ひょっとして昔飼ってた犬のロンに似てるからかな。
ロンにはいろんなことを聞いてもらったっけ。

「本音で付き合ってるのに好かれてるって、それすごくね?」
「は?好かれてる?どゆこと!?」
「だから、中院さんが、シュウのこと好きだってこと」
「待て待て。それはない」
「え?おまえ今日のデートでプレゼントもらってたじゃん」
「あれは僕がニコラのぬいぐるみをうらやましがってたから、ほどこし感覚で」
「そもそもおまえの事好きだから今日来てくれたんじゃないの?」

え、マジでか?……そういえば好きな人のこと聞いたとき顔真っ赤にしてたっけ。
あれって……え?そういう意味だったの!?

「まあ俺も適当な事言ってるからあまり本気にするなよ」

適当なんかい!自分が告白成功させたからってそれはないだろ……。

457: 名無しさん@おーぷん 2015/12/29(火)00:10:59 ID:fy9(主)
今日はここまでです

See you soon, have a nice dream!

458: 名無しさん@おーぷん 2015/12/29(火)00:49:20 ID:y7g
ま さ か…

来ちゃうんですかリア様ルート!
でもあんまりここでシュウがリア充しちやうとアレちゃんとの出会いがなー
悩ましい

イッチの腕に任せた!

459: 名無しさん@おーぷん 2015/12/29(火)22:57:14 ID:Mfm
今夜は来ないのかな?

460: 名無しさん@おーぷん 2015/12/29(火)23:37:14 ID:fy9(主)
仕事納めで同僚とご飯食べてたらこんな時間になっちゃいました
少しだけ続き書いていきます

461: 名無しさん@おーぷん 2015/12/29(火)23:42:13 ID:g3r
おかえりー

462: 名無しさん@おーぷん 2015/12/29(火)23:43:57 ID:fy9(主)
「それじゃあそろそろ……」

部屋に帰ろうとしたら「シッ!」っとケイに言葉を封じられた。
一体どうしたんだろうと思ってケイに目をやると、あごをしゃくって
向こうを見ろと促してくる。

向こうと言っても道は無く、そこには森が広がっているだけだ。
ひょっとして逢い引き中のカップルでも見つけたのかな?

「ケ……」

名前を呼ぼうとしたらものすごい形相で睨まれた。
おまえは何を見つけたって言うの!?

463: 名無しさん@おーぷん 2015/12/29(火)23:53:22 ID:fy9(主)
ケイの見つめる先に視線を移すと、何か動く物がいる。
しかし人間じゃない、四つ足の動物だ。
何頭かいるのかよく聞けばさわさわと草木の揺れる音がする。

もっとよく見ようと僕が一歩踏み出した瞬間その影が一斉に森の奥へ駆け出した!

「なにやってんだシュウ!」

そういってケイは謎の影を追いかける。ふたつの目は好奇心で輝いていた。
僕もなんとか追いかけたいがサンダル履きなのでスピードが出ない。
チクショウ、何が靴のシューだ。

464: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)00:04:44 ID:kH0(主)
サンダルが脱げない範囲でケイを追いかけると、20メートルほど先でケイが動きを止めていた。
しかし影を見失ったわけではないようで、未だ体中から緊張感がほとばしっている。

そっとケイの横に並んで前を見たら、見つけた!

それは月影に見事なツノを浮かび上がらせこちらを睨む一頭の牡鹿だった。
見事な体つきから察するに群れのボスなのかもしれない。
追いかけてきた人間から仲間を逃がすために一頭だけ残ったのだ!

「おい、ケイ……どうする?」
「動くなよ。あのツノで突かれたらさすがにやばい!」

465: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)00:12:53 ID:kH0(主)
僕たちはひたすらじっとしていた。攻撃の意志がない事をなんとかわかってもらうためだ。

どれだけの時間がたったかわからないが、ふっと牡鹿の警戒が解かれたのを感じた。
その瞬間自分が汗まみれになっている事に気付く。
一体誰だけの時間こうして立っていたんだろう。

ケイと互いに顔を見やった瞬間、牡鹿は姿を消してしまった。

「すごかったな……」
「ああ、すごかった」

お互いそんな言葉しか出てこないくらい緊張してたんだと思うと力が抜けてその場にへたり込んでしまった。

467: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)00:21:47 ID:kH0(主)
「アメリカ、ハンパないな」

とはケイのセリフ。日本だって野生の動物はいるんだぞ?

「そりゃ日本にもいるのは知ってるけどさ、東京にいたらなかなかこんな経験できないぜ?」
「そっか、ケイは都会っ子だもんね」
「なんだよ、そういうシュウはこういう経験した事あるの?」

まあ、もちろん僕も初めてだったんだけどね。

「シカはないけどタヌキとアライグマとイノシシなら見た事あるよ」
「なんだよそれ……田舎こええ……」
「え?このシカと変わらない貴重な経験だろうが!」
「そうだな。ごめん、あやまるよ」

あれ?なんかケイが素直だな。これが自然の浄化力?

468: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)00:30:15 ID:kH0(主)
「そういえば真由子さんも語学研修生のときここでシカを見た事があるって言ってた気がする」
「へえ、じゃあ昔からここに住んでるのかもな」
「真由子さん曰く他にもハクトウワシとかいろんな動物がいるそうだよ」

ああ、ハクトウワシ……なんとかこの目で見てみたいなぁ。
さっきのシカももう1度ちゃんと見てみたい。

「シュウはこんなときにも真由子さん真由子さんなんだな」
「うるせー!」

470: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)00:47:19 ID:kH0(主)
「正直なところ、俺がニコラと付き合えたのってシュウのおかげだと思うんだ」

よせやい。どうしたんだ突然。自然の浄化力にやられすぎだろ。

「だからさ、お前が幸せなるためだったら俺はどんなことでも協力してやるよ」
「じゃあもう一回フォアグラ食べに連れてってよ」
「ああ、それでおまえが幸せになれるなら喜んで」

え、本気で言ってるの?もう1回数百ドルおごれって言って即オッケーって……

「でも、お前の幸せはそんな所にはないと思うぞ」
「僕の幸せ?」
「研修期間の3ヶ月、長いようでもう半分終わっちまった。
 俺らが一緒にいられるのもあと1ヶ月だけだ。
 その間にどうすれば幸せになれるかちゃんと考えておけよ!おやすみ」

そういうとケイはすたすたと寮の方へ歩いていく。
暗くて顔色は見えないが、きっと顔を真っ赤にしている事だろう。
なにせ言われるこっちまで恥ずかしいセリフを言い切ったんだから。

ああ、僕の幸せって何なんだろう?
僕はこのアメリカで何をしたいんだ!?

「……ケイ!こんな所に僕を置いていくなよ!!」

469: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)00:44:18 ID:x8f
ケイは視力が良いんでしょうなぁ
自分なら見える自信ないわ

471: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)00:51:11 ID:kH0(主)
>>469
ケイの視力はものすごくいいですよ
パイロット目指してたので、様々な視力を鍛えてました


それでは今日はこの辺で

See you soon, have a nice dream!

472: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)00:54:32 ID:x8f
>>471
そうか、パイロットは視力も必要か
ありがとう、お疲れ様。

474: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)01:31:18 ID:2tl
>>471
昔、裸眼で1.2~1.5以上だったと思う。今は矯正視力に替わっているのかな。海保や海上自衛隊もそんな感じだったと思う。

473: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)01:24:11 ID:oZv
外資なのに今日仕事納め?
ちょっと特殊なのかな?
まぁでもそんなこと関係なく、いつも楽しく読ませて貰ってます。
これからもよろしく!

477: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)19:06:40 ID:kH0(主)
ノロウイルスに当たってしまったようなので今日は書けません。
皆様よいお年を

478: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)19:08:30 ID:9sC
イッチお大事に

479: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)19:33:32 ID:W46
お大事に家族に
感染しないように気をつけて
PCのキーボードの消毒も忘れずに

再開、あせらず療養して下さい

See U & Happy new year

482: 名無しさん@おーぷん 2015/12/30(水)19:58:16 ID:R3V
まさか…生牡蠣再来!?
お大事にぬ

495: 名無しさん@おーぷん 2016/01/02(土)03:54:45 ID:mX0
>>494
おかえりなさい。マイペースでね。あけおめ!

http://toro.open2ch.net/test/read.cgi/lovesaloon/1450323641/

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